【表紙裏ばなし】ケータリングで人気のYUSAN。和食を現代ならではの解釈で
今号のmirea69号の表紙はいかがでしたか?
2段のお重に詰め込まれた手間暇かけて作られたであろう、1つずつが丁寧で美味しくて、美しい料理たち。色とりどりの食材と組み合わせた小さな手まり寿司に、春の風情が漂うおかず、どれもそそられます。
今回表紙でコラボという形で、このお料理を作ってくださったのは、三浦にあるアトリエを拠点にケータリング活動を行っている「YUSAN」です。
YUSANは、長年飲食業界で働いた後、秋谷で自身のお店「YUSAN」を数年経営していた料理人・牧野加奈子さんと、カメラマンである旦那さま・海平貴史さんのユニット名。今回はYUSANのアトリエにお邪魔して、表紙を撮影させていただきました。
YUSANのアトリエは、昔ながらの一軒家。ガラガラという引き戸を開けて入った自然光が心地よく差し込む玄関口にセットを組み、奥様が作った料理をカメラマンである海平貴史さんが撮影するという、何ともステキなコラボレーションが実現。花見や春のお出かけ時に持参したい、お弁当イメージで、おいしさがギュッと詰まったmireaらしい表紙に仕上がりました。
YUSANは、秋谷で5年ほどカフェを経営されていた経験も。お店を閉めた後、ケータリングというカタチで、新たに料理と向き合うスタイルを選び、会いたい人がいる場所へ、呼ばれた先々に出向いて、料理をふるまっているそうです。
「人のご縁で色々な場所に繋がっていっている」と牧野さん。
ケータリングする先は日本津々浦々、時には海外にまで及ぶそうで、ヨーロッパでのケータリングはとても思い出深い経験のひとつだとか。
長年飲食業界で働いてきた牧野さんが作る料理は、二十四節気を意識した旬食材たっぷりの和食……と一言で表現するにはもったいないほど、奥深さと上品さを兼ね備えています。
「和食をベースに、食べ飽きることのない精進料理のようなものを目指している」と牧野さん。ケータリングする先々、その土地の食材をなるべく使用して、その土地の人と対話しながら料理を提供する。
また、YUSANの総合プロデュース的役割の海平さんは「五味五色五法の伝統的な和食を現代人ならでの解釈で…」と話します。
「風習・文化をそのままやっても今の人にはなかなか通用しないですよ。現代人がステキ!美味しい!と、もっと日常的に感じてもらえるような感覚を大切にして、色々な方の意見を聞きながら、料理をプロデュースするようにしています」とも。
料理はもちろん、それを様々なアプローチで魅せるプロデュース力も、YUASNの魅力のひとつ。作家の器を使用して、世界観に奥行を加えたり、旅するようにケータリングしたり、食べる展示会と称したイベントなど、“食”を広いテーマで扱っているのも興味深いです。
「お店をやっていた時は守りでした。自分達から行ける活動の範囲が限られてしまっていたので。でも今は攻めですね。感じたことを素直に表現したり、会いたい人に会って、行きたいところに行く。そのスタンスが今はとても心地よいです」と牧野さん。
YUSANは牧野さんの出身地・四国の言葉、農業の箸休めに言う「遊山しに行こうよ(ピクニックしようよ、的な意味合いだそう)」からとったのだそう。
野山のなかで自然を感じて食べるご飯、庭先にあるものを摘んでさっと料理に、そんな想いがベースにあるそう。料理と人とが繋ぐ、ご縁ある各地へ赴くままに。YUSANのスタンスは、ごくごく自然体で何だかとても楽しそうです。