丸加の 横浜スカーフ
ハイカラ文化と高度なプリント技術から生み出される
港町・横浜ならではの美しいスカーフ。
横浜港開港をきっかけに発展したシルク産業は、日本の近代化に大いに貢献したといわれている。昭和に入ると横浜発のスカーフがヨーロッパで人気を博し、1970年代には世界の生産量の約50%が横浜から出荷されていたというから驚きだ。バブル崩壊や新興国の安価な製品におされ、現在は出荷量こそ往時の10分の1ともいわれるが、プリント技術の高さにおいては、世界的に有名なイタリア・コモに勝るとも劣らない評価を得ている。
そんな伝統を横浜の文化として発信し続けているのが「丸加」だ。89年の横浜万博を契機にオリジナルスカーフを手がけるようになり、現在は「伝統横濱スカーフ」「the PORT by marca」などのブランドを展開。シーズンごとに新しいコレクションを発表している。
「スカーフは使い方が難しい、と思われる方も多いと思います。でも、上手に使いこなせば、この四角い布一枚で毎日の暮らしをとても豊かに彩ることができるんですよ。」
巻き方次第で様々な表情を見せてくれるのは、スカーフの楽しさのひとつ。1枚の絵画のように美しいプリントも、すべて実際に巻いたときの柄の出方を考えた上でデザインされている。
ハマっ子ならスカーフ1枚くらい素敵に使いこなせなくちゃ。そんな思いを持つ人が増えることを願って、店頭では使い方の無料講習会なども開いているので、のぞいてみてはいかが?
【profile】
1952年創業。スカーフ、ハンカチーフ、テキスタイルなどの企画、開発、製造、卸売に加えて、スカーフ専門店を運営。デザインからプリント、縫製まで職人たちが手作業で仕上げる繊細で美しいスカーフは「横濱001」に認定されている。
■横浜みなとみらい ランドマークプラザ店
横浜市西区みなとみらい2-2-1-2 ランドマークプラザ5F
TEL.045-222-5370
モダンでユニークなプリントが持ち味の「the PORT by marca」は、プリントの魅力をより身近に感じられる遊び心のある商品提案をコンセプトに生まれたブランド。
裁断せず2枚続きで仕立てた大判長方形のスカーフは、丸加のオリジナル。首に巻くだけでなく「着る」スカーフとして楽しみたい。
スカーフの企画から生産まですべて国内で行っている。繊細な柄と美しくシャープな仕上がりは、熟練した職人技ならでは。
株式会社 丸加 遠藤洋平さんインタビュー
「横浜」と「スカーフ」の関係を教えてください。
横浜港が開港した当時、日本の主な輸出品は「生糸」でした。生糸貿易で獲得した外貨は、日本の近代化に大いに貢献したといわれています。
やがて原材料である生糸を加工し、ハンカチ(手巾)を作ったところ、海外の万国博覧会などで人気を集めるように。正確なことはわかりませんが、昭和に入る頃、これがスカーフへと発展したと考えられています。
第二次世界大戦で横浜近辺の工場は壊滅的な打撃を受けますが、スカーフには根強い人気があったため、力強く復興し、発展を遂げます。1970年代には、世界のスカーフ生産量の約50%が、横浜港から出荷されていました。
横浜スカーフは、国内のシルク産業と浮世絵版画の伝統を受け継ぐ捺染の技術、横浜のハイカラ文化などが溶け合って発展してきた、横浜ならではの伝統産業といえるのではないでしょうか。
「株式会社丸加」の創業は1952年と伺っています。
当時は横浜にもたくさんのスカーフ工場がありました。輸出向けと国内向けのスカーフをここで生産していたわけですから、そのおかげで横浜が大変な活況であったことは想像できますよね。
技術的にも、世界最高峰と称される“イタリア・コモ”のクオリティを目指して研鑽を積んできた結果、世界中で「コモに勝るとも劣らない」との評価を得るまでに成長しました。
その後、バブル崩壊や新興国の安価な製品に押され、横浜のメーカーは相次いで撤退。現在では出荷量こそ往時の10分の1といわれていますが、技術と表現力では、今も世界屈指のレベルにあると自負しています。
ファッションメーカーとして、年2回のシーズンコレクションを発表していらっしゃいますね。
自社のオリジナル製品を手がけるようになったのは、1989年に開催された横浜博覧会がきっかけです。
日本はもとより、世界中からいらっしゃるお客様に「横浜ならでは」のお土産を持って帰っていただきたい…。そんな思いから横浜の企業が業種を超えて集まり、生み出したのが、現在の「ヨコハマ・グッズ横濱001」につながる横浜ブランドです。丸加においては、横浜らしく、現代におけるクラフツマンシップを大切にした「伝統横濱スカーフ」を立ち上げるきっかけになりました。
2015年秋冬からは、より遊び心のある商品を提案するブランド「the PORT by marca」もスタート。スカーフの伝統的な製法を大切にしながらも、今の気分をカタチにしたコレクションも発表しています。
スカーフは使い方が難しい気もします。
確かに、若い方からは「おばあちゃんが持っていたけど、私は使い方がわからない」といった声も聞かれます。そんなイメージを払拭するために、近年、使い方を伝える無料講習会を開くようになりました。この四角い布を1枚、自分のスタイルに取り入れるだけで、毎日がとても彩り豊かで楽しい時間になる。そこに気づいていただきたくて、定番デザインを大切にしながらも、新しいデザインや使い方を積極的に発信しています。
もちろん、私どもの店に足を運んでいただければ、スタッフがいつでもアドバイスさせていただきます。秋にはまた新作が登場しますので、みなとみらいへお越しの際は、ぜひお店にお立ち寄りください。