『 金柑マーマレードとチーズのカナッペ 』 ~旬を小瓶にとじこめて~
ものがたりのあるレシピ。 1月 2021
輸入やハウス栽培が便利な現代にも旬の短い野菜や果物はたくさんあります。金柑もその一つ。広がる香りと鮮やかな色は寒い日に心も身体も温まりますね。旬の美味しさを小瓶にとじこめて、寒い季節のおうち時間を楽しみましょう。
『 金柑ジャム 』 お好みの量で 30分
1.金柑はヘタを取り洗い、たっぷりの湯を沸かし中火で茹でる。金柑が1/3ほど浮いてきたらザルにあけ、一度水につけてさっと洗う。
2.金柑の水気を軽く切り横半分に切って種を取り除き、フードプロセッサーにかけてお好みの細かさにする。
3.2と2の重さの8割のグラニュー糖を鍋に入れる。塩とレモン汁少々も加えかき混ぜながら中強火で5分ほど煮る。煮沸した瓶で保存する。チーズを添えてカナッペに。
1月のコラムは “ ジャムという保存食 ” のものがたり
今では楽しむための食べ物というイメージの強いジャムですが、もとはといえば保存食。冷蔵庫での長期保存やトラックでの輸送がなかった時代には、その土地で採れた野菜や果物をその季節に食べることしかできませんでした。そこで生まれたのが保存食で、収穫が減り狩りもできない冬に向けて果物はジャムに、野菜は酢漬けや塩漬けに、肉はハムやサラミに加工して保存したわけです。
ほとんどの野菜や果物が一年中手に入る時代となりましたが、それでも旬が短く、収穫される季節にしか出回らないものもまだまだ存在します。金柑をはじめ、我が家ではそんなフルーツや野菜をジャムにして季節の移り行きを楽しんでいます。1つ月の金柑に始まり、春にはいちごジャム、初夏には梅ジャム、夏のマーマレードとトマト、秋には紅玉でリンゴジャム。これが一年の定番ラインナップです。金柑が出回り始める12月、金柑ジャムの鍋から立ち上る香りに本格的な寒さの到来を感じます。パンに塗るだけでなく、チーズと合わせたりドレッシングにしたりと楽しみ方もいろいろ。日々の食生活の節々で季節を感じられるのは、特にお家で過ごすことの多くなった今ではとても豊かな時間に思えてきます。
作る量は3か月で消費できるくらい。いくら保存食とは言え、4月の金柑、9月の梅…はなんとなくぱっとしませんね(笑)。 WECKの瓶に詰めて完全煮沸すれば数か月の保存が可能です。今月は何度も作ってたどり着いた、シンプルにしておいしく仕上がるレシピを載せてみました。外出もままならない昨今ですが、ぜひ旬の手作りジャムで日々の食卓に彩りを加えてみてください。
那須井綾子
航空会社勤務を経てパリにて料理を習得。
横浜にて料理教室『レ・キュイジニエール』を主催。