ビル風も緩和 スパイラルなモニュメント
いつ夏が終わって、いつから秋が始まったのか。
近年、季節の境があいまいになってきています。
そんな不規則な歩幅で進んでいる季節も、暦の上では冬を迎えました。
真冬になる前のこの時期は絶好のお散歩チャンス。
ゆっくりと歩きながら、街に点在するアートを巡るのもいいでしょう。
中でも気象予報士的におすすめなのは、
横浜ランドマークタワーのふもとにある、『モクモク・ワクワク・ヨコハマ・ヨーヨー』という名のモニュメント。
これは横浜の海からインスピレーションをうけた作者が、
もくもくたなびく雲と前途洋々の横浜をダイナミックに表現した作品です。
「夏は上昇気流が発生して、頭上に雲が湧くさまが見てとれ、冬は海面水温と気温との差で蒸気がたつ。
その様子が、上に向かって連続している大気に見えてきた」と述べており、
地球を取り巻く大気の流れをスパイラル状に表現したそうです。
(ステンレス建築 1997年6月号より)
そして、この作品がおもしろいのは、ビル風緩和の役割も果たしている所です。
高層ビルが立ち並ぶみなとみらいエリアはビル風が強いため、
”風を緩和するもの”が作品に求められた条件だったそう。
実際、設置するに当たって、風洞実験も行い、ビル風抑制効果が証明されました。
一度みたら忘れられない、インパクト大のスパイラルな雲モニュメント。
スタイリッシュなビジュアルに、ビル風緩和という機能も兼ね備えた、
“みなとみらい”ならではのアートです。
気象予報士・夜景観光士 多胡安那