宇治茶 又兵衛
京都で育まれた緑茶のおいしさを
愛する横浜の地で広めたい
緑茶を飲むシーンは少なくなったけれど、新茶の季節にはおいしいお茶を飲みたくなる。そこで見つけたのがこのお店だ。宇治茶は一番摘みの採取がほとんどで、生産量が少なく高品質なお茶として知られている。その中でも玉露は、日光を遮るなど特別な方法で栽培されるお茶で、渋みがなく深いコクと旨味が特徴だ。それにしても、明治20年の創業以来、京都で栽培農家を営んできた又兵衛がなぜ横浜に…?
実はご主人の堀井恒雄さんは、投手からコーチ、球団フロントとして長くベイスターズを支えてきた方だった。
「アメリカで暮らしていた時、現地で飲んだ緑茶があまりにまずくて、それが『日本茶』として売られていることに憤りを感じたんです。外国の人にもホンマもんのお茶のおいしさを知って欲しい。そうと思ったこととから、引退後に家業を継ぐことを決意しました」
当初は海外向けのインターネット販売のみでスタート。和モダンがコンセプトのオリジナル商品が“ヨコハマ・グッズ 横濱001”に認定され、横浜土産として少しずつ広まっている。
【profile】
■宇治茶 又兵衛
横浜市保土ヶ谷区天王町1-7-2
TEL.045−453−8975
http://www.matabay.com/
(海外向け)http://tea-of-japan.com/
宇治の茶葉で作られた「和紅茶」、煎茶をベースとしたハーブティーなどもあり、手軽なティーバッグなのがうれしい。横浜の観光名所をイメージしたパッケージ・デザインは、長女の美花さんが担当。
玉露は、低温の湯で淹れると甘みや旨味が強く引き出される。一般には60度くらいが適温と言われるが「40度くらいで淹れてもおいしいですよ」と堀井さん。
ギフトセット「花鳥風月 又兵衛」は世界緑茶コンテスト2017で金賞を受賞。
左から堀井恒雄さん、奥様の初美さん、長女でデザイナーの美花さん。
《宇治茶 又兵衛 堀井恒雄さんインタビュー》
宇治茶は京都のお茶ですよね。ご主人は京都のご出身?
はい、明治20年から京都府山城地方で宇治茶の栽培を行っている家に生まれました。横浜に移り住んだのは大洋ホエールズに入団したことがきっかけですから、ずいぶん長くなりましたね(笑)。ロッテや海外でのプレイを経てベイスターズに戻り、コーチやフロントの仕事にも携わったので、横浜は今や第二の故郷です。球界を引退して家業を継ぐにあたり、横浜市に小売・卸の店「宇治茶 又兵衛」をオープンしました。
販売を手がけるようになったのは、堀井さんの代で初めてだとか
そうです。幼い頃からお茶はいつも身近にあったので、いずれお茶に関わる仕事をするだろう、と思ってはいました。直接的なきっかけとなったのは、アメリカで暮らしていた時、現地で飲んだ緑茶が衝撃的にまずかったことかもしれません(笑)。日本茶の名誉のためにも「おいしいお茶を届けなくては」と思い、まずは海外に向けたネット販売からスタートしました。
宇治茶の特徴、魅力とは?
宇治茶の産地は寒暖の差が大きいので、おいしいお茶が作れる土地です。また、ほぼ一番茶だけ、それも大半を手で摘むので、品質には自信があります。
中でもぜひ味わっていただきたいのが「玉露」。日光を遮るなど特別な方法で栽培されるお茶で、渋みや苦味がなく、深いコクと旨味があります。煎茶より低い60度くらいのお湯で淹れるとよいといわれていますが、さらに低い40度くらいのお湯でゆっくりと淹れた玉露もおいしいですよ。一煎目、二煎目、三煎目と、お湯の温度を少しずつ上げながら淹れると味や香りが変化していくので、それもぜひ味わってみてください。
より多くの方に日本茶に親しんでいただけるよう、ティーバッグもご用意しました。茶葉がたっぷり入っているので、手軽においしい日本茶を淹れていただけます。
これからやってみたいことがあれば、聞かせてください
関東では「玉露」の知名度が今ひとつだったので、当初はそのおいしさを伝えることが第一でした。おかげさまで最近はだいぶ浸透してきたと感じています。又兵衛では抹茶も扱っているので、今後はこれを使ったスイーツを作ってみたいですね。