横浜ベイブルーイング 鈴木真也さん
「世界一のピルスナーを造り
横浜を世界に通じるクラフトビアシティに!」
クラフトビールが人気だ。大手ビール会社が量産するビールに対して「職人技のビール」「手作りのビール」などと表現されるが、作り手のこだわりが感じられる個性的な味わいが新たなビール・ファンを増やしていることは間違いない。そして横浜発のクラフトビールといえば、関内に店を構え、横浜ベイスターズの「BAYSTARS ALE」も醸造する「横浜ベイブルーイング」だ。
2011年8月、関内にビアパブをオープン。翌年から醸造免許を取得してオリジナルビールの製造を開始したものの、鈴木さんが本当にやりたかった「ピルスナー」造りに着手できたのはそれから2年後のことだった。2014年にはチェコ最大のビール審査会「GOLD BREWRRS SEAL2014」で優勝。そして2016年夏、ついに戸塚に新工場を設立し、世界一のピルスナー造りに向けた挑戦が始動する。
「僕が考えるクラフトビールとは、作り手が自由に作るビールです。ある意味、お客さんのことも考えていないかも(笑)。でも、ウンチクを傾けるでもなく、皆でワイワイ楽しめるのがビールの良さだと思っています。みなさんにも自由に飲んで、自由に楽しんでいただきたいと思っています」
【profile】
横浜市出身。2005年に横浜ビールに入り6年間修行したのち2011年に独立、関内にビアパブ「横浜ベイブルーイング」を開業する。2016年には戸塚区にビール工場が稼働。
横浜出身の鈴木さんは横浜ビールで6年間修行した後に独立。チェコ生まれとされるピルスナーに惚れ込み、単期間ではあるが現地のブルワリーでもビール醸造を経験する。
左から、本場チェコでアジア初の金賞を受賞した「ベイピスルナー」、ドイツ発祥の白ビール「ベイヴァイス」、アメリカ産ホップを5種類使用した「パワーボムIPA」、ベルギー発のホワイトエールスタイル「WEEKEND JOURNEY」
生産力にはまだ余裕があるので、販売量を伸ばすことが現在の目標。
戸塚工場はタップルーム(ビアパブ)を併設。営業は毎月第1土曜日のみだが、できたての生ビールが飲めるとあって大人気。
《鈴木真也さんインタビュー》
自らクラフトビールを造ろうと思ったきっかけは?
ビールが好きで、おいしいピルスナーを造りたかったからです。2005年に横浜ビールに入ったのですが、当初からいずれ独立したいと思っていました。
ビール造りに携わるうちに、チェコスタイルのビールに惹かれ、これを目指したいと思うようになります。休みをもらって実際にチェコに行き、3週間ほど現地の醸造所に入って修行させてもらいました。
チェコスタイルのビールの特徴とは?
苦みや麦の香りがしっかりしているのだけど、するする飲めることでしょうか。日本でビールといえばほぼピルスナーのことですが、チェコはピルスナー発祥の地と言われています。ただ、ピルスナーは幅が広く、日本のピルスナーは米やコーンスターチを使って軽く仕上げているものが多い。僕が造るピルスナーは麦の味がしっかりしていて、ホップをたっぷり使うので香りも味もしっかりしています。
ビールに合う食事とはどんなもの?
僕の店では刺身も出しますよ。ビールに生魚は合わないともいわれますが、クラフトビールは相性がいい。ワサビを効かせるとホップの苦みに合うのだと思います。そもそもクラフトビールは味も香りも様々なので、食べたい料理に合わせることができるんです。
これまでで大変だったのは?
酒造免許の取得と工場を造る資金ですね(笑)。2011年に関内でビアパブをオープンし、半年後にようやく免許を取得してオリジナルビールの製造を開始しました。でもそこの設備ではピルスナーを造ることが難しかったので、まずは国内3カ所の醸造所で「ベイピルスナー」の醸造をスタート。そうした販売実績を元に銀行の融資担当者と交渉を重ね、戸塚工場の物件を契約したのが2015年12月。ビール製造の免許を申請し、様々な機械トラブルを乗り越え、晴れて戸塚工場製ビールがお披露目できたのは2016年11月のことでした。
これからやってみたいことは?
今は生産量を伸ばす時期だと思っています。まずは工場の生産能力の限界まで販売量を増やすことが目標です。また、戸塚工場の敷地はまだタンクを増やす余裕があるので、もっといい釜と設備を入れてクオリティを上げていきたいですね。
《ここで飲めます!》
■横浜ベイブルーイング
関内本店 横浜市中区福富町東通2−15 TEL.045−341-0450
戸塚店 横浜市戸塚区神倉田町507-3
TEL.042−392-6066
https://www.yokohamabaybrewing.jp/