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写真のクラフト「スクラップブッキング」MASAKOさん

撮った写真を、家族の
思い出として残してほしい


お気に入りの写真を12インチの台紙などに貼り、スタンプやラインストーン、マスキングテープなどで美しく飾りつけるスクラップブッキング。写真と共に撮影した時のシチュエーションやメッセージなどを書き込むこともでき、子育て史や家族史として残せる点も人気の秘密のようだ。
MASAKOさんはそのスクラップブッキングの第一人者で、出会いは自閉症の次男の子育てがきっかけだった。「私はよく写真を撮るのですが、次男は小さいころ人と目を合わせなかったので、笑顔の写真が撮れず困ったなと。ちょうどそのころ、スクラップブッキングと出会い、細かく手を使う作業療法や写真の癒やしなど、いろんな効果がミックスされていると感じました。次男に対しても、笑っている写真じゃなくても、さりげない日常を撮りたいという気持ちに変わっていきました」。
現在は、自閉症児のママへの講座なども行っているMASAKOさん。「時間を忘れて打ち込めるので、ストレスをスクラップブッキングで解消していただけたらいいですね」。

photo gallery
ウエディングやさまざまなイベントの写真を美しく残せるのも魅力のひとつ。子どもたちへの大きなプレゼントにもなる。

作品づくりに使うペーパートリマー。紙を好きな形に切り抜く道具で、スクラップブッキングには欠かせないもののひとつ。

作品づくりのセミナーで、生徒さんとの一コマ。横浜、東京など国内のみならず、海外でのセミナーも好評を博している。

台紙に貼る専用の用紙やラインストーンなど、100均ショップで手に入る素材も多い。ママ友同士で気軽に楽しむことができる。

MASAKOさんインタビュー

まず、スクラップブッキングについて教えていただけますでしょうか。
「スクラップブッキングというのはアメリカで誕生したクラフトなのですが、アメリカでは写真を飾る文化が根付いていまして、思い出の写真に飾り付けをして次世代に残すというのが、スクラップブッキングのそもそものスタートです。流行り始めてから何十年か経っていて、日本にも15年ほど前に入ってきました。『ジャーナル』という写真に対する思いや記録を書き入れるので、思い出をより鮮やかに残す家族史や自分史という記録的な面があります。
作品は12インチの正方形が基本で、季節に合わせて飾ったりもできます。専用のアルバムもありますので、子供が結婚するときに会場に飾ったり、プレゼントするのも最近流行っています。写真の中に「この時、初めて●●を食べた」とか必ずメッセージ(ジャーナル)が書き込まれていますので、思い出が蘇るんですね。東日本大震災の後に『写真のデータをパソコンに入れっぱなしだとパソコンが壊れたら見られなくなってしまうけれど、プリントなら洗浄して見られる状態になる』ということで、プリントをして残す方が増えています。震災の10年ほど前からスクラップブッキングというのは広まってきていたのですが、ここ最近一層人気に火がついたように感じています」。

確かにパソコンが壊れたら、もうデータは見られませんものね。
「子どもの成長記録が全部飛んでしまいますしね。思い入れのある写真だけでもスクラップブッキングにして残そうと」。

なにより、自分の子ども時代の写真がこういう形で残っていたらうれしいですよね!
「お母さんがこれだけの愛情をかけてくれたんだって伝わりますよね」。

そもそもMASAKOさんがスクラップブッキングを知ったきっかけは、なんだったのでしょうか。
「もともと東急エージェンシーという広告代理店に長いこといまして、写真関係の仕事もしていたんですね。その後結婚して、子どもが生まれたんですが、次男が自閉症だったんです。私はふだんからものすごく写真を撮っていたんですが、次男は目も合わせてくれないものですから全く写真が撮れなくて『これは困ったな』と。
子育てのため会社は辞めたのですが、ちょうどそのころ、クラフト業界のパイオニア的存在である(株)サン-ケイさんから『スクラップブッキングというクラフトを日本で広めたいと思うんだけど、一緒にやってみない?』と声をかけていただきまして、そういえば写真を使ったクラフトって今までなかったなと。それでやってみましたら、手作業することで作業療法だったりとか、写真を見ることで癒される回顧法だったりとか、いろんな効果がミックスされて気持ちが落ち着くことに気がつきました。そこで『これは広めていく価値がある』と思ったんです。目を合わせてくれない次男の写真も、目を合わせてくれないから撮らないんじゃなくて、さりげない日常でもいいから、笑っている写真じゃなくてもいいから撮りたいという気持ちに変わっていきました。そういう癒しがとてもありました。現在はボランティアで、横浜の中部地域療育センターなどでお母さん方の癒しになればと思ってスクラップブッキング教室をやったりしています」。

時間を忘れて一生懸命になれるんでしょうね。
「そうなんです。夢中になるってストレス解消にもなりますしね」。

MASAKOさんが感じる作品づくりの楽しさとは、どういうところでしょうか?
「お気に入りの写真がより活きるところでしょうか。まず写真ありきのクラフトなので、写真に合わせてペーパーやラインストーンを選んだり、そういう準備も楽しいです。デザインを考えて材料を集めていく過程がワクワクします。それでいて、集中してやると2、3時間でできるので達成感があるんですね。時間がない主婦やお子さんが小さいママでも、少し夜更かしすれば作れちゃうんです」。

生徒さんは写真を趣味にしている方が多いですか?
「どちらかというと、お子さんの写真をかわいく残したい、という方が多いので、お子さんが小さい方がとても多いです。それでやっているうちに、せっかくだったら資格をとって自宅で教室をやろうという方もいらっしゃいます。また、「クロップパーティー」っていうんですけれど、ママ友などと自分が気に入っている素材を持ち寄って一緒に作品を作ったりすることもありますね」

お互いに素材をシェアしあうのも楽しそうですね。
「そうなんです。最近では100均ショップでも素材を売っていて、手軽に安く手に入るんです。あと子どもの服で小さくなって着られなくなっちゃったものがありますよね。それを素材にすることもできます。子ども服のボタンを使ったりですとか」。

写真で着ている服の生地やボタンがスクラップブッキングに使われているんですね。
「そういうリサイクル的なこともできるし、記念にもなりますよね」。

MASAKOさんのレッスンでは認定講師の資格もとれるそうですね。
「生徒さんは北海道から沖縄までいらっしゃって、通信講座もやっています。あと、セミナーを受講して資格をとるコースもあります。私自身『スクラップブッキングを、生徒さんそれぞれの地元で広めてほしい』という思いがあるので、講師になった方が認定教室を開いて、ご自身の生徒さんもまた認定講師になっていくという方法を可能にしています。大手のメーカーでは同じ方法をとっているところはほとんどないと思います」。

教えられるレベルに達するには、相当な練習が必要なのでしょうか。
「セミナーによっては私が必要な材料をキットにして用意しますが、通信講座は素材に色を塗ったりスタンプを押したりするところから全部やっていただくので大変な面もありますね。また、写真の講座も併せてやっています。スクラッブブッキングは写真が良いと作品全体の格があがりますので、せっかく手間ひま作るなら高級感のあるものにしていきたいなと。お子さんの写真でもピンぼけしてしまうのではなくて、ちょっと背景に気をつけたりするだけでだいぶ変わってきますのでね。通信講座のなかでも写真の勉強はしていただきます」。

写真が上手でなくてもスクラップブッキングで華やかに飾ればごまかせる……というのではなくて、やはり写真が大切なんですね。
「私は写真を仕事にもしていましたので、写真が大切だと思います。生徒のみなさんと写真実習もしています。お母さん方は、たとえば運動会などでシャッターチャンスを逃したくないわけです。難しいことをするわけでなく、そういう時に使えるコツの勉強をします。少しでも努力した写真をスクラップブッキングで使おうねと。もちろん、自分が親から受け継いだセピア色の古い写真を使うというのもアリですね」。

子どもの写真をうまく撮りたいけど写真教室は敷居が高そう……と感じているお母さんにはぴったりですね。
「クラフトと写真が一緒に学べますからね」。

先生ご自身は、いつごろから写真を始められたんですか?
「高校1年生の時に父からライカの一眼レフをもらったのがきっかけです。写真の大学に行きたかったのですが親に却下されまして、普通の大学に行ったのですが、夢を諦めきれなくて広告代理店に入ったんです(笑)。
自閉症の次男に対しては、中学1年生の時にカメラを渡したら上手くハマってくれまして(笑)、今は大学の写真学科の2年生です。私のセミナーの写真実習の時は、生徒の皆さんのお手伝いをしたりしています」。

ご本人は、自分の子ども時代の写真を使ったスクラップブッキングを見て、どんな感想をおっしゃいますか?
「やはり喜んでいますね。写真って一生懸命にならないと撮れないので、いわゆる「脳活」になるみたいなんです。次男は(カメラを渡す)中学1年生までオール1だったんですが、カメラを渡したらオール4まで成績が上がりました」。

性格的な面での変化もありますか?
「しっかりしてきたと感じましたし、目標を見つけたことによって自閉症でもこれだけ変われるんだと実感しました。それをきっかけに、自閉症の子どもや認知症のお年寄りにボランティアでスクラップブッキング講座をしたりしています」。

「脳活」という言葉も出ましたが、手先を使うのが脳にいいのかもしれませんね。
「写真を撮るのと手作業と両方するスクラップブッキングだからこそですよね」。

写真を撮ることで親子の関係も変わってきそうですし。
「コミュニケーションツールになりますし、ケンカしている時でもお母さんが作ってくれたスクラップブッキングを見たら愛情を感じてくれるんじゃないかと思います」。

ご次男にカメラのアドバイスをすることもありますか?
「しょっちゅうそういう話をしていますね。スクラップブッキングと出会って本当によかったと思いますし、天職だったと思っています」。

最後になりますが、今後の夢や目標としてお考えになっていることをお聞かせください。
「最近では児童虐待の問題などもよく取り上げられていますが、そういうストレスを溜めないで、スクラップブッキングで解消できる場をこれからも広げていきたいですね」。

Atelier M's Style

Atelier M's Styleを主宰するのは、スクラップブッキングデザイナー・フォトグラファーのMASAKO(本名:勝呂正子)さん。米国デコアート社ヘルピングアーティスト。日本写真療法家協会ファシリテーター。高校時代から写真をはじめ、大学卒業後は広告代理店・東急エージェンシーにて活躍。出産を機に退職し、スクラップブッキングと出会う。

  • ショップ・スポット名
    Atelier M's Style
  • 住所
    横浜市中区本郷町1-8
  • 電話
    045-621-8143

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