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綱島で創業90年。高安畳店三代目主人・高安忠雄さん

丁寧な仕事は当たり前。+αの対応で喜んでほしい

昭和の幕開けとともに綱島に店を構えた高安畳店。高安忠雄さんはその3代目主人であり、畳ドクターをはじめ、いくつもの資格を持つベテランだ。さっそく畳職人の腕の見せどころをお尋ねすると、「お料理と同じで、早い・うまい・安いでしょうか」と温和な笑顔。聞けば、朝預かった畳を夕方までに仕上げて返すのが、昔ながらの畳店のならいなのだそう。
さらに繊細な作業が必要とされるのが、新築住宅の畳だ。「大工さんがどんなに気を遣っても、部屋の寸法は縦横それぞれ誤差が出ます。ですので、畳も全部同じ寸法で作ると隙間が空いたり、入らなかったりするんですよ。現場ではレーザーで目に見えない誤差を測り、角度をきっちり出すことに気を遣います」。
口癖のように何度も「仕事がきちんとしているのは当たり前ですから」と繰り返していた高安さん。「これからも新たな野望というよりも、きちんとした仕事と+αの対応力で、お客さまにリピートしていただける畳店でありたいですね」。


祖父の代から続いてきた高安畳店の作業場。ワラを使った畳床は重いものだと30kg以上もあるため、体力勝負の仕事だという


使い込まれた道具の数々。大きな包丁(右)で畳表をザクザク切ると、い草の清潔感あふれる香りが作業場いっぱいに広がった


畳のヘリは色や柄のバリエーションが豊富で、インテリアに合わせて選べる。かわいいアニマル柄は子ども部屋にぴったりだ


レーザーで畳の寸法を測る道具。最新の機器を駆使して、目ではチェックしきれない部分までもきっちりと計測していく


高安忠雄さん

高安忠雄さんインタビュー

まずは、畳職人のお仕事について教えていただけますでしょうか。
「畳床をつくる会社や畳表を織り上げる会社がそれぞれありまして、畳屋というのはその材料を使って組み上げるのが仕事です。最近は中国産の畳も出回っていますが、うちは主に国産の素材を使用しています。畳って肌に触れる物ですし、赤ちゃんがハイハイしてなめたりするかもしれませんので、安全性を重視しています」。

傷みにくさなどでも国産と中国産に違いはありますか?
「長持ちという意味ではやはり国産ではないでしょうか」。

国内で有名な産地というと、やはり九州というイメージがありますが。
「い草の栽培は九州産が約90%を占めると思います。熊本・福岡ですね。あと、広島・岡山も有名ですね。古くから「備後」というのが畳のブランドの一つになっています」。

気候が栽培に適しているんでしょうね。
「そうですね」。

作業としては、どのように進めていかれるのでしょうか。
「畳床というのが畳の土台になります。昔はワラを圧縮して使っていましたが、今は建築材料を使ったり、発泡スチロールのようなものを入れたりしたものが主流になっています。ワラの畳床は長持ちするといわれますが、最近の素材のものも25年ほどは問題なく使えます。またワラ床は部屋の湿度を調節してくれたり、踏み心地が柔らかかったりというメリットがある反面、虫が出ることもあります。どちらの畳床がいいということではなく、それぞれの良さがあるということですね
畳表も、飲食店さんですとビニール製のものが多く使われています。飲み物やおしょうゆなんかをこぼした時もサッとふけますし、日焼けもしにくいので、最近は一般のご家庭でも使われていますよ」。

いろいろ素材があるんですね。作業なさる上で難しいところといいますか、畳職人の腕の違いが出るのはどんなところでしょうか。
「お料理と一緒だと思います。お料理も、手際よく見た目よくおいしいものを作るのは経験が必要だと思いますが、畳も短時間で見た目よく数こなせるようになるのは経験が必要なんですね。畳店は、朝お客様のお宅に伺って畳をお預かりして、夕方には作業を終えてお返しするのが基本ですので」。

時間との戦いなんですね!
「そうですね。ですので、手際よくいろんな作業をこなせるようになるには、10年は必要なのではないでしょうか。あと畳というのは、一言で6畳といってもそれぞれのお宅によって大きさが違うので、寸法をきちんと測って隙き間ができないように作っていくんですよ」。

よく団地間や江戸間という言い方もしますよね。
「それもそうなんですが、部屋によって畳の接する部分(寄せまわり)が斜めになっていることもありますし、すべて同じ尺で作ってしまうと合わないんです。家というのはどんなに大工さんがキッチリ建てても、ほんのわずかですけれども、部屋のタテヨコの寸法が違ってくるんですね。真ん中の畳だけは直角に作っても大丈夫なんですが、それ以外はすべて部屋の凸凹や角度の違いに合わせて作っていきます」。

新築のお宅の畳を作る時は大変ですね。
「一度すべての寸法を測ってから作っていきます。寸法を測る時は昔ながらの道具のほか、レーザーで微細な凹凸を計測できる機械も持っていくんですよ。そうしないと、出来上がった畳が入らなかったり隙き間ができてしまったりしますから」。

そういうところが職人のワザなんですね!一度作った畳は、その部屋のその位置でしか使えないとは知りませんでした。
「同じマンションでも、101号室用に作った畳は102号室には合わないんです」。

そういった畳職人の修業というのは、どのようになさるものなんでしょうか。
「我々の時代は弟子入りというより、職人を育てる専門学校がありました。私は高校を18歳で卒業しましてから、茨城の学校で2年間学んできました。ちょうど今年で30年になりますね」。

高安さんは高安畳店の3代目だそうですが、後を継ごうというのは自然にお考えになっていたのですか?
「自然とそういう気持ちでいましたね。子どものころから親の背中を見ていたといいますか、畳屋になるんだと思っていました。『畳屋になれ』と言われたことはなかったですが、そういうものだなと」。

お子さんのころから手伝いをなさったりとか?
「作るのはできないですし、親もやらせないですけれど、高校生ぐらいのころから畳を運ぶ手伝いはしましたね」。

独り立ちなさったあと、改めて大変さを感じることはありましたか?
「きちんと仕上げるというのは職人として当然のことですが、お客さまとのやりとりの大切さもありますよね。また、肉体労働の大変さもあります。昔ながらのワラの畳床は30kg以上、建築材料の畳床でも10〜15kgはありますので、階段をかついで上るとシビレます(笑)」。

それはキツイですね!最近はフローリングの家が増えていますが、まだまだ畳の人気は健在でしょうか。
「家の数からしたら畳のお部屋は少なくなりましたけれども、マンションも戸建ても1部屋は和室があるというお宅が多いですね」。

縁のない正方形の畳も人気のようですね。
「縁のない正方形の畳ですと、6畳に12枚並べることになりますが、同じ色の畳を互い違いに並べるだけで光の加減でチェックに見えるんです。これは最近の流行ですね。また、畳床の厚みが通常のものの半分(約3cm)しかありません」。

厚みが半分というのは、なにか理由があるのでしょうか。
「部屋を作る際に、床を6cm下げて建てる場合もありますし、設計の都合で3cmしか下げられない場合もあるんです。それに合わせた畳を収めるというわけです。通常は55mmから60mm、畳屋の言い方ですと2寸の深さが一般的ですね。それぞれのお宅によって、畳の分だけ床を掘り下げる場合もありますし、逆に小上がりのように畳の部分を高くする場合もあります」。

いろんな建て方があるんですね。
「はい。我々もニーズに合わせて柔軟に対応しています」。

ご自分のお宅でも、やはり畳のお部屋はありますか?
「ありますが、灯台下暗しで、なかなか手入れが行き届いていませんね(笑)」。

ご自身で畳の部屋で過ごして、「こんなところがいいな」と感じることはありますか?
「和室って人が集まった時に便利なんですよね。テーブルに椅子と違って、座卓一つ置いておけば何人でも集まれるじゃないですか。ゴロリと横になれるのもいいですし、寝室にも客間にも使えるのがいいとおっしゃるお客さまもいらっしゃいますね」。

やはり畳は日本人の生活に浸透しているんですね。最後になりますが、今後、挑戦したいこと、やりたいことを教えていただけますでしょうか。
「野望はないです(笑)。ただ、この畳屋に頼んでよかったと思っていただけるように頑張っていきたいですね。仕事がきちんとしているのは当たり前ですから、+α対応力でお客さまがリピートしてくださる状況が続けば満足です」。

畳を仕上げる様子に密着!動画はこちら。

高安畳店

高安畳店の三代目・高安忠雄さんは高校時代から家業を手伝い、卒業後は茨城県高萩市の専門学校へ。現在はベテラン職人として活躍し、職業訓練指導員免許、畳ドクターなど数々の資格を持つ。また、地域活動にも力を入れ、地元消防ボランティアは勤続24年目。

  • ショップ・スポット名
    高安畳店
  • 住所
    神奈川県横浜市港北区樽町2-13-20
  • 電話
    0120-047-045

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