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主婦の味方となるレシピを続々と!料理研究家フルタニマサエさん

「主婦であってシェフではない」。それが座右の銘

テレビ出演、レシピ本出版など多方面で活躍中の料理研究家フルタニマサエさん。横浜で料理教室を開いて30年以上になる現在も、手軽に作れるおもてなし料理を中心に、熱心に指導を続けている。
レッスンのたび、必ず新しいレシピを考えるというフルタニさんだが、大切にしているのは手に入れやすい食材を使うことだという。「若いころは珍しい食材を使って生徒さんをびっくりさせたい、喜んでもらいたいという気持ちがありました。でも、ある時『どこで買えるかわからない食材を使う料理はうちで作れない』と言われてハッとしたんです。それ以来『主婦であってシェフではない』が私の座右の銘になっています」。
現在は食品ロスをなくす活動にも力を入れているフルタニさん。「たとえば、冷蔵庫にあるものをいつも把握しておくだけでも食品ロスを軽減することができます。また、消費期限の問題などにも理解を深め、企業や小売店と連携して問題を解決していけたらいいなと思っています」。


センスのいいテーブルコーディネートもフルタニさんが得意とするところ。料理に合わせて、食器やクロスの色を決めていく


旬の食材をふんだんに使った料理は、見ているだけでお腹が鳴りそう!これまで考えてきたレシピは数えきれないほどだ


著書の数々。特に「こどものかわいいおべんとう」(左)は版を重ねたベストセラー。「デコ弁」の元祖とも言われている


料理をきれいに、可愛らしく仕上げるための小道具たち。ストローは、動物の目や鼻など丸く型抜きする時に重宝するという

フルタニマサエさんインタビュー

まず、お料理教室を始めたきっかけを教えてください。
「はい。当時は青葉区の市ケ尾で自宅のリビングとキッチンを使って教え始めたのが1984年でした。子どもが小学校に入ったころだったのですが、子どもが大きくなった時に自分でも何かやっていたいなと思っていました。それで、たまたま図書館で読んだ本に「あなたが一番好きなことはなんですか?それを職業にできることは、とても幸せなことです」というような文章がありまして、自分は何が好きかなと考えた時に料理だったんですね」。

今ですとブログなどさまざまな情報発信の方法がありますが、当時はどうやって生徒さんが集まったのでしょうか。
「自分が『したいな』と思うと情報をキャッチするアンテナが出るみたいで、そうこうするうちにある電機メーカーさんから「アドバイザーをやってほしい」という話がきまして、「ちょっと珍しい家電があるから、それを使って料理をしてくれないか」と。それは今でいうIHクッキングヒーターなんですけれど、そこで料理を披露するうちに、いつもうちに集まって食事をしていた方たちから『料理を教えてほしい』という声が出まして、それがそもそものきっかけだったかもしれません」。

本当にお料理が好きというところから始まっているんですね。
「私は栄養士や調理師の学校を出ているわけではありませんし、好きで習っていただけなのですが、だんだんと自然の流れでということでしょうか」。

最初にお料理を習いはじめたのはいつごろですか。
「中学1年生の時から先生のところへ通っていましたが、自分が教えるようになるとは思いもしませんでした」。

子どもの習い事としては珍しいですよね。
「私の母が商売している家の娘でして、祖母が忙しいこともあり家庭の中で料理をしたり習ったりする機会がなかったそうなんです。他のことはひととおりできるんですが、料理がまったくダメで(笑)。それで、結婚して子どもが生まれた時に、料理を習わせようと思っていたらしいんですね。ちょうど母の知り合いに懐石料理の先生がいまして、私は中学校のころから通っていました。その先生にはお料理だけでなく、お茶からお花まですべて教えていただきました」。

それまでも、ご自宅で料理はなさっていましたか?
「していました。たぶん小学校3、4年生のころからしていました。子どものことですからたいした料理ではなくて、豚肉とキャベツを炒めるとか、その程度のことでしたけれど」。

「楽しい」とか「周りが喜んでくれた」とか、そういう体験が原動力になったんでしょうね。
「はい、それにプラス自分がおいしいものを食べたいというのもありました(笑)。大人になってからも、我々のころは花嫁修業というのがありましたので、お料理を習ったりしましたが、まだ教えたいという気持ちはありませんでしたね。その後、結婚して、アラブ地区へ駐在に行っていたんですが、日本食を売っていない時代ですから、自分で作るしかないんです。そうしましたら、現地で日本食を紹介する機会がありまして、たいした料理はしていないんですが、でも『料理を披露するって楽しいな』という思いはありました」。

アラブ地区にはどのぐらいいらしたんですか?
「3年です。駐在に行っていると日本からたくさんお客さまがみえるんですが、その方たちにお料理をお出しするのが私たちの仕事のようなものなんです。長い方だと一週間ぐらいいらっしゃいますので、朝・昼・晩とお出しすることもありました。わりと料理をつくる機会は多かったですね。
その時も楽しいとは思いましたが、仕事にしようとは思いませんでした。子育てをしていましたので、あまり影響があってはいけないという思いもあり、子どもが大きくなるにつれて、少しずつ仕事を増やしていきました」。

そういった流れで、生徒さんが増えていったんですね。
「東日本大震災の前は、横浜駅の近くにスタジオを構えていたんですけれども、思うところあって、今後は同じ料理の世界で働きたいという方々のお役に立ちたいなと思いまして、私のところにいただくお仕事を少しずつお任せしたりしています。みなさん非常に実力はおありになるんですが、今の時代、自分で仕事を得ていくというのは難しい面もありますのでね。私は年季だけは入っていますので(笑)、お声掛けいただく機会もあるものですから、みなさんに少しずつ引き継いでいきたいと思っています」。

現在、ご自宅でのレッスンは月に何日ぐらいなさっているのでしょうか。
「月にだいたい10回ぐらいでしょうか」。

初級・中級・上級とクラス分けされているんですか?
「以前はそうしていたのですが、今はテーブルコーディネートと料理を合わせた『おもてなし料理』の教室をしております」。

通っていらっしゃる方は、ふだんからお料理をよくなさる方ですか?
「いえ、初めての方もいらっしゃいます。初心者の方の場合は私がお側について指導しています。教室で、まずするのは食材を知ることです。これは何で、どういうふうに使うかということを知らないと料理ができませんから。それから、包丁を持って、どう切るかと進めていきます」。

教えていらっしゃるレシピは、すべてご自分でお考えになるんですか?
「はい。教室を始めて30数年、毎回必ず違うレシピを創作しています」。

毎回いろんなものが習えるのは楽しいですね!やはり、季節ごとの素材を使うですとか?
「なるべく旬の食材を使うようにはしています。それとずいぶん前ですが、デパートのカルチャースクールで講師をしていたことがありまして、若かったこともあって、奇をてらった珍しい食材を使った料理を教えたいという意識があったんですね。当時はまだ珍しかったライスペーパーを使いましたら、通ってくださっていた年配の生徒さんが『あなたは家庭料理を教えているのに、どこに行っても買えない食材を使うなんて意味がない』とおっしゃったんです。私は珍しいライスペーパーを使えば皆さんが喜んでくださると思っていましたし、その言葉がとてもショックでした。でも振り返ってみるとその方の言葉はもっともで、私は「主婦であってシェフではないんだ」と。シェフであれば誰も作れないお料理を作ってお金をいただくのが仕事ですよね。でも、料理研究家とか料理の講師というのは、皆さんが家で再現できない料理を教えても意味がないんだということを、その生徒さんに教えていただいたと思っています」。

味つけの部分では、最近「薄味」に関する本も出されていますが、味のこだわりはどんなところでしょうか。
「世界中の料理っていろいろな調味料を使っていて、それにハーブやスパイスを入れたりしていますよね。それを日本料理と合わせて調味を考えていくのは、パズルのようでとても楽しい作業なんです。私、各国の料理を食べるのが趣味なんですよ」。

そういった味のセンスや探究心は料理家には欠かせないですね。他に、料理家に必要な資質はあるとお感じになりますか?
「面倒くさがりの方は難しいでしょうか。お料理を始めたころって頭のなかにそんなにストックもないですし、作って作っていかないとできないものだと思うんですね。私も、今はこれとこれを、どの程度の分量で混ぜれば、どういう味になるか頭に入っていますけれど、初めのころは分からなかったので、毎日毎日料理を作っていました。そういうことが面倒な方は難しいかもしれないですね。うちの生徒さんには、まずは興味を持つことが大切だといつもお話しています。クリエイティブなことを要求される仕事ですので、そういう興味を日頃もって、アンテナを広げる要素がないと厳しいですね」。

本当にお料理はすごくクリエイティブだと、お話を伺って改めて実感しました。最後になりますが、この先お考えになっている計画や目標があれば教えてください。
「食育とか、食品ロスを削減する活動をしていきたいと思っています。神奈川県で食品ロスを削減する会を立ち上げたんですが、これは私のライフワークとして、今後も取り組んでいきたいと思っています」。

飲食店、家庭、スーパーなどの小売店すべて含めての活動でしょうか。
「はい。企業とレストランと家庭があるわけですが、私たちはまず家庭を考えながら、企業の方とミーティングをしたりしています。企業・レストラン・家庭がそれぞれキッチリ分かれているわけではなくて、レストランに行って食事をするのは私たちです。そこで接点があるわけです。たとえばレストランは「お持ち帰りOK」にすると、食中毒など何か問題が発生したら訴えられるかもしれないから、「持ち帰りお断り」とするわけです。そういう部分で、レストランと客の両方が理解しあえば、捨てる部分を少なくするとか、問題が解決できるかもしれないですよね。企業と私たちにしても同じで、消費期限とか賞味期限という問題でつながっているわけです。スーパーは期限が近づくと売り難いですよね。その多くが食品ロスになってしまいます。野菜にしても「曲がっているからいやだ」とか「色が少し変わっているからいやだ」とか我々消費者がいうから、どうしてもロスが出てしまうわけですよね。そういう意味では、家庭や主婦が基本になっているんですね。ですから、私たちは家庭や企業、レストランをつないで、自治体さんともご一緒にみんながいい方向に行ければいいなと思っています。まだ始めた段階なので、なにも大きなことはできていないのですが、将来的にはもっと活動を広げていきたいですね」。

フルタニマサエさんの動画コメントはこちら!

マダムマーサクッキングスタジオ

料理研究家・食空間コーディネーターとして活躍するフルタニマサエさんは東京都出身。横浜市在住。「マダムマーサクッキングスタジオ」主宰。料理の指導のほか、食品会社のメニュー開発など、多岐にわたって活躍している。2007年には「食生活研究会」を発足。食について研究と活動に熱心に取り組んでいる。

  • ショップ・スポット名
    マダムマーサクッキングスタジオ
  • 住所
    神奈川県横浜市中区

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