「多くの人に気軽に楽しんでほしい」
新進歌舞伎役者の“挑戦する歌舞伎”
「待っているだけではいけない」 そんな想いで始めた自主公演
歌舞伎の若手俳優としての目覚ましい活躍だけではなく、近ごろはテレビドラマやバラエティー番組への出演も増えている尾上松也さん。現在は帝国劇場でのミュージカル「エリザベート」にも出演中だ。その彼が座頭を務める歌舞伎の自主公演「挑む」が、この夏、横浜にやって来る。年に一度のこの挑戦の場を控えた今、その意欲を語ってくれた。
「『挑む』は2009年から始めて、今回で7回目になります。最初に始めたきっかけとしては、父・尾上松助を亡くしたことが関わっています。父が亡くなったのは、僕が20歳のころ。大きな後ろだてを失い、役者としての独り立ちをアピールする必要性を強く感じました。そのためには待っているだけではダメだ、とこの公演を始めたのです」
歌舞伎と聞いて、敷居が高いと感じられる方も多いかもしれない。「挑む」では、そんな歌舞伎を観たことがない方たちにも来てもらいたいと、チケットの価格も控えめに設定してあるという。「演目も、初めての方にもわかりやすいものを中心に選んでいます」
メインの出演者は若手歌舞伎俳優7人。「そのほかにも、これまでは中村七之助さんや、狂言の世界から若手役者さんを迎えるなど、毎回ゲストに参加していただいています。今回は片岡孝太郎さんをゲストにお迎えすることになり、我々もますます張り切っています」
演目は舞踊の3作品。「毎年、演目と配役も全員で相談して、その年その年で新たな挑戦を課し、自分たちにとってもステップアップできる内容を目指しています」。そう語る松也さんに、公演の見どころを教えてもらった。
「最初の『操り三番叟』は、おめでたい場で踊られるお祝いの舞踊です。操り人形役と人形使い役との息の合った踊りが見どころです。続く『二人椀久(ににんわんきゅう)』はガラリと趣を変え、妖艶で幻想的な雰囲気。遊女に入れあげ、座敷牢に閉じ込められた男の情念を描いた作品です。最後の『二人袴(ふたりばかま)』は、狂言の名作を元に、新たに「挑む」バージョンとして創作致します。狂言ものですので、コメディチックなドタバタがあり、最後はめでたしめでたしで終わる楽しい演目です」
縁の深い神奈川での公演をこれからのステップに
「今回の神奈川芸術劇場は、今までで最も大きい会場。その意味でも挑戦となります」と松也さん。横浜に対してはどんなイメージを持っているのだろうか。
「実は母の実家が鎌倉にあるので、幼いころから鎌倉や横浜にはよく訪れています。みなとみらいや中華街など、たくさんの見どころがあって、とても好きな街。元町あたりを一緒に訪れると母がとても懐かしむので、僕自身も親しみを感じている土地でもあります」
そんな縁深い神奈川での、初めての自主公演。「横浜も同じ関東ではありますが、初めての東京以外での自主公演でもあります。今回をステップにして、今後ももっと東京を飛び出して、より多くの人に観てもらえたら」
最後に、ミレア読者へのメッセージを。「僕も今年で
30歳になりました。歌舞伎に育ててもらったという感謝とともに、これまでの挑戦が少しずつ花開いてきた手応えを感じています。これまでの自主公演を通して得られたものも大きいので、今後もできるだけ長く続けていきたい。皆さんも肩肘をはらず、映画を観に行くような感覚で気軽に観にいらしてください」
◆ 横浜のここが好き! 「象の鼻パーク」
広々とした開放的な空間がとても気持ちいい場所。目の前には青い海が広がっていて、緑の芝生でのんびりくつろげるし、赤レンガ倉庫もキレイで、のびのびとした気分になれます。
◆もっともっと! 知りたい! 尾上松也さんのコト
■性格をひとことで表すと?
アバウト
■ 旅行したい場所は?
ヨーロッパ。今までロンドンに公演で行ったことしかないので、もっとじっくりいろいろな場所を見てみたい。劇場にも行ってみたいですね
■死ぬ前に食べたいものは?
生クリーム。それこそ死ぬほど、思いっきり食べたい
■好きな寿司ネタは?
ビントロ
■ 好きなおにぎりの具は?
梅!
■特技は?
うーん…親指を反らせることくらいかな?
■座右の銘は?
継続は力なり
■人生のモットーは?
結果オーライ!
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◆ 本誌に載せられなかったインタビューのこぼれ話を公開!
◆最近ハマっていることを尋ねると、清潔好きをうかがわせるこんな答えが…。
「トイレ掃除ですね。最近、いい道具を見つけて…。洗剤が染み込んだ使い捨てブラシなんですが、汚れた部分を捨てられて清潔に使えるのがとても気に入っていて、よく掃除しています。水回りは特にキレイにしておきたいタチなんですよね」
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◆PROFILE◆
尾上松也
1985年1月30日東京生まれ。東京都出身。父は六代目尾上松助。1990年、「伽羅先代萩」の鶴千代役にて二代目尾上松也の名で初舞台。数々の子役で多くの賞を受ける。10代後半から現在まで、立役、女方の両方で活躍を続ける。最近では、2014年「渋谷・コクーン歌舞伎第十四弾三人吉三」での大成功も記憶に新しい。2009年には自主公演「挑む」を主催。 以降年1回のペースで継続している。 歌舞伎以外でもラジオ、 大河ドラマ「天地人」(前田利長役)、映画「源氏物語」(頭中将役)、ミュージカル「エリザベート」(ルイジ・ルキーニ役)、 テレビレギュラー「メレンゲの気持ち」(NTV)、など、活躍の場を広げている。
◆公演情報◆
「挑む 〜更なる幕へ勇みし気迫(こころ)」
8月8日(土) 昼11:30/夜16:30 神奈川芸術劇場
S席:8640円/A席:7560円/B席:6480円
問い合わせ:キョードー横浜 045-671-9911
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