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エミール・ガレ―自然の蒐集

ポーラ美術館では、およそ10年ぶりにエミール・ガレの展覧会を開催いたします。ガラス工芸の分野におけるアール・ヌーヴォーの旗手として知られるガレは、文学や哲学、修辞学、音楽、植物学、鉱物学、そして生物学といったように、多岐にわたる関心を有しており、ガラスの造型と意匠にその博識をいかんなく発揮しました。とりわけガレを魅了したのが、「森」と「海」という、ふたつの自然の源泉でした。
チャールズ・ダーウィンの著作『種の起源』が出版されたのは1859年のことです。ダーウィンの主張した進化論の影響を強く受けながら、自らも植物の研究を続けたガレは、昆虫や植物の住処である「森」を生命の象徴であると捉えていました。1870年に出版されたジュール・ヴェルヌの『海底二万里』の流行に代表されるように、19世紀後半は海洋学や海の生物についての関心が一際高まった時代でもありました。「深海に潜る勇敢な海洋学者たちが、大洋の神秘をわれわれにもたらしてくれるのです。〔……〕研究者は海の七宝螺鈿ともいえる珍しい物体の形態を写生し出版して芸術家に供してくれるのです。」とはガレの言であり、「海」もまた「森」同様に、芸術家にとって欠くことのできない自然の源泉のひとつでした。
自然はアール・ヌーヴォー期の意匠として大流行しましたが、ガレほど自然に関する博識を駆使して作品を制作した芸術家は、他にいません。自然のさまざまなかたちや意匠をふんだんに自作に取り入れる芸術家の行為は、自然を蒐集するコレクターのそれになぞらえることができるでしょう。本展では、ガレの芸術を初期から晩年まで辿りながら、「森」と「海」というふたつのキーワードを通じて、ガレによる自然の蒐集行為を検証します。

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