着る人を心地よく包み、より美しく輝かせる
横浜の街に似合う、上質で仕立ての良いシャツ
仕立ての良い白いシャツがワードローブにあると、それだけでオシャレ心が満たされる。爽やかな春の気分にフィットする1枚を探していたら、大桟橋にあるこの店に出会った。産地と直接連携して織り上げるオリジナル素材やインポート生地、ボディラインをより魅力的に見せる立体的なパターン、襟あきが美しく見えるボタン位置、デザイン…。ストライプスのシャツは、その1枚に心地よさのための細かな工夫や心遣いが詰まっている。
この地に店舗兼アトリエを構えたのは、村田寿通さん。東京の駒沢でメンズオーダーシャツ店を営んでいた祖父から数えて三代目。時代の流れから先代がレディスシャツのメーカーにシフトし、その後、取引先の1つが元町にあったことがきっかけで、横浜に拠点を移す。
「取引先がイベントを行う際、お店を手伝いがてらオリジナルシャツを販売してみたところ、これが思いの外好評で。何より、シャツを買ってくださるお客様の顔が見え、着心地に対する要望や声を直接聞けることに、モノづくりの喜びを感じたんです」
そんな縁から元町に店舗兼アトリエを開いたのが約10年前。5年後に現在の場所へ移転し、今では住まいも横浜に移したという。
ストライプスブランドは「マニッシュな素材と仕立てで作るレディスシャツ」をコンセプトとしてきたが、ここへ来て村田さんは、もう1度メンズシャツに取り組んでいる。
「まだ試作段階ですが、子ども用のシャツにもチャレンジしています。年代を問わず、幅広いお客さまに着ていただけるシャツを作っていきたいですね」
【profile】
■STRIPES
東京都世田谷区でメンズオーダーシャツ「村田屋」として創業。現在は大桟橋の麓に店舗兼アトリエを構え、横浜の空気を感じながらオリジナルシャツを作り続けている。
横浜市中区海岸通1-1
TEL.045−212−0540
http://stripes-motomachi.jp/
天然あこや貝のボタンにこだわる。薄くデリケートなため近年は敬遠されがちだが、その輝きこそが高級シャツの「証」。
同素材を使い、親子3代で楽しめるシャツも提案。
港湾関係の倉庫を改装した店舗兼アトリエは、真っ白な壁とフローリングが印象的。窓からは自然光がたっぷり入り、素材感のあるシャツの美しさを引き立てる。
《STRIPS 村田寿通さんインタビュー》
■ご出身は東京だと伺っています
はい。祖父がメンズのオーダーシャツ屋を創業し、私はその3代目として世田谷の駒沢で生まれ育ちました。私が幼い頃、お客様には高級クラブで働く方々が多くいらしたので、納品に行く父の車に乗って、六本木などの繁華街へも出かけました。車の中で父を待つ間に、一人でいることが怖くなって泣いてしまったこともありますが、お客様の中には「坊主、アイスをあげようか」と可愛がってくださる方もあり、今となってはいい思い出です。
その後、父はメンズのオーダーシャツからレディスシャツへの切り替えを決断します。当時、女性用のシャツといえば、ポリエステルのような柔らかな素材で仕立てた「ブラウス」が主流でした。でも父は、『ローマの休日』や『麗しのサブリナ』などの映画を見て、シャツ姿でマニッシュな立ち居振る舞いをするオードリー・ヘップバーンに憧れたことから、「女性にも仕立ての良いシャツのニーズがある」と考えたようです。会社を恵比寿に移し、アパレルメーカーとしてストライプスブランドを立ち上げました。
■シャツ作りの仕事を受け継いだのは、自然な流れだったのですね
いえ、本気でシャツ作りに取り組もうと思ったのは、大学生になってからでした。父が「銀座和光にシャツを納めるようになった」と誇らしげに言うのを聞いて、「それって、どういうこと?」という興味から、銀座のお店を見学に行ったんです。すると、たまたま品の良い奥様がショーケースの中にあるシャツを「見たい」とおっしゃっているところで。素材とスタイルを見れば、父が納めたシャツであることは一目でわかります。店員さんが白い手袋をはめてシャツを取り出し、仕立ての良さなどを丁寧に説明しているのを見て、とても感動しました。自分が作ったものが、こうした場所で丁寧に売られていく。シャツ作りを仕事にしたいと本気思ったのはこの時です。まるでドラマみたいですよね(笑)。大学は経済学部だったので、卒業後に服飾の専門学校で学び直し、父を手伝いながら仕事を覚えていきました。
■横浜にお店を出そうと思ったきかっけは?
本当に偶然なんです。アパレルの仕事は東京中心だと思っていたし、東京を離れるなんて考えたこともありませんでした。
きっかけは、元町にある取引先のイベントを手伝いに行ったことです。イベントの一環としてオリジナルシャツを作り、自分たちが店頭に立って販売してみたところ、これが思いの外好評で。というか、お客様の声を直に聞けることがとても楽しかったのです。当時はバイヤーを通してシャツを売っていたので、実際にシャツを手に取ったお客様がどんな反応を示し、何を気に入って買ってくださるのかがわからず、暗中模索を続けていました。それだけに、これは大きな経験です。直接お客様と接し、その声に耳を傾けながらシャツ作りをしたい。そう考え始めたところ、裏通りの空きスペースを紹介してくださる方があり、元町に店舗兼アトリエを構えることができました。諸般の事情で移転することになった際も、横浜以外の地はまったく考えず、大桟橋の麓にある現在の場所へ移転しました。
■横浜にお店を持つことでシャツ作りに変化はありましたか?
そうですね。実際にお客様に着ていただき、着心地やシルエットを確認できることで、ストライプスのシャツは変わってきたと思います。シルエット、動きやすさ、肌触り、衿の開き具合、ボタンの位置。お客様と話をしながら気づいた点をその場でメモし、素材選びやパターンなどに活かせるようになりましたから。
横浜はトラッド・ファッションが似合うおしゃれな街だと感じていましたが、思っていた以上だったかもしれません。お客様の雰囲気がおだやかで、自分が良いと思ったものを使い続けてくださる。私自身が意識しているわけではありませんが、今ではストライプスのシャツを見て「横浜っぽいわね」という言葉をいただくこともあります。上品な奥様が「先日ここで買ったシャツ、お友達に褒められちゃった」と声をかけてくださったり、「自分のために買ったのに娘に取られちゃったから、また買いに来たわ」という話を聞くと、ここでお店をやっていて良かったと、心から思います。
■ストライプスの「こだわり」とは、どんなところでしょう
まず、素材です。綿、麻などの産地・織元と直接連携してオリジナル素材を開発したり、イタリアを中心としたファション性豊かな素材を探し、反物で買い付けています。インポート素材は1ロット150cm×300mなので、使い切るのが大変ですが(笑)、色の雰囲気や肌触りには独特なものがあります。一般的なシャツ地と比べて軽く、柔らかく、ストレッチ性があるのも、インポート素材に惹かれるポイントの一つですね。
サイズは、やや小さめの設定です。もちろん、大きな方にはサイズオーダーで対応しますので、ご安心ください。
ボタンは貝ボタン、中でも天然あこや貝のボタンにこだわっています。天然モノなので割れやすいのが難点ですが、薄さと輝きにおいてこれに代わるものはありません。また、ボタン位置は等間隔にこだわらず、衿の開きやシルエットを考えながら配置。1カ所だけデザイン違いのボタンを付けてみるなど、既成概念に捉われない自由で美しいデザインを心がけています。
■これからやってみたいことがあれば、聞かせてください
私たちはシャツ屋なので、アイテムを広げることは考えていません。ただ、レディスにこだわっているわけではなく、近年は再びメンズシャツに取り組んでいます。祖父の時代、男性はネクタイが必須で、パリッとしたシャツが好まれました。でも今は、ノータイでカッコよく着こなせるシャツをお探しのお客様も少なくありません。そこで、レディスシャツで培ったノウハウを活かしたメンズシャツを提案しています。
さらに、若い世代からご年輩まで、幅広い方に着ていただけるシャツを作っていきたいと考えています。例えば、おばあちゃんとお嬢さん、お孫さんの3世代で来店し、みんなで楽しみながらシャツを選んでいただけたら、素敵だと思いませんか。
STRIPES
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ショップ・スポット名STRIPES
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住所
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営業時間11:00~18:00(不定休)
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クレジットカード可(VISA・MASTER・JCB・AMEX・Diners)
マップ
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