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ヨコハマベジメイトプロジェクト代表 阪田守昭さん

「丹精込めて野菜を育て、消費者に直接販売する。

お客様の顔が見える農業にやりがいを感じます」

「農業をやりたい」という人は少なくない。行政の支援などもあるので、技術を学ぶことはできそうだ。けれど、実際に農業で生計を立てるには農地と販路を確保することが必須で、それがかなり高いハードルとなる。阪田さんは、そんな難問に挑戦した1人だ。

まずは横浜市の農業大学講座などを受講し、農家での研修を経て農地を借り受ける。無農薬栽培の野菜は不揃いで一般の市場に出荷するのは難しいため、自ら企画書を書いて販売ルートを拓く。すべてを1人で賄うことは並大抵のことではないが、阪田さんは、さらに食育や子供食堂の支援などにも関心を広げていった。そんな多忙な毎日を送っているからこそ、志を同じくする仲間と出会うものなのだろう。今年一月、阪田さんの元に年齢も経歴も様々な新規就農者や、支援者である野菜料理研究家らが集まり、「ヨコハマベジメイトプロジェクト」が発足する。

「第一目的は、生産者と消費者をつなぐためにマルシェなどに共同出店し、販路を広げることです。農と食に関わるイベントも少しずつ企画しています。次は、育てた野菜を無駄なく活用して収入の安定化をはかり、かつ消費者に喜ばれるために、野菜を加工して販売する『農業の6次化』を実現したいですね」

【profile】

大手食品会社を退職した後、横浜市の農業大学講座を受講。ステップアップファーマー研修を経て、チャレンジファーマーとして保土ヶ谷区に就農。2017年2月、支援者とともに、新規就農農家支援と情報共有を主目的とした「ヨコハマベジメイトプロジェクト」を立ち上げる。

無農薬栽培野菜中心の食生活になったことで、会社員時代と比べて15キロ以上スリムになったという阪田さん。かつては全てで赤信号が灯っていたという健康診断の数値も、現在はいたって良好。

プロジェクトメンバーである「えんちゃん農場」の長岡親一郎さん、事務局を務める料理研究家の小出好美さんと、出荷の準備中。

阪田さんたちが育てる野菜は、無農薬栽培が基本。見た目にカラフルで、味も香りも濃い。

農業に興味のある人たちと人手が必要な農家さんをつなぐ「援農ボランティア」も募集中。この日は翌日から天気が崩れる予報だったので、2人の方が農作業の手伝いに訪れていた。

 

阪田守昭さん インタビュー

元々農家の出身ではないと伺っています

祖父代までは、代々新潟で農家を営んでいたので、農業に縁がなかったわけではありません。でも、私自身は生まれてすぐに横浜へ移転し、それ以降現在まで、畑とは縁遠い鶴見で暮らしています。大学は農学部で学んだものの、卒業後は食品会社に就職して会社員になりました。それが、定年が近づいてきた頃になって、農業に対する思いが膨らんできたんです。定年延長の誘いもあったのですが、それを断って農家になろうと決意しました。

とはいっても、農地も持たない人間がすぐに農家になれるわけではありません。まずは退職後に横浜市の農業大学講座を受講。ステップアップファーマー研修を経て、チャレンジファーマーになると、ようやくスタートラインに立てます。ここまでで3年かかりましたが、運良く現在の農地を借りることができたので、農家として独り立ちすることができました。

無農薬栽培の農業に興味を持ったきっかけは?

多忙な会社員生活を送っていたことも原因かもしれませんが、アレルギーやアトピーがひどかったんです。体重は今より15キロ以上重い75キロあったし、健康診断の数値はすべてレッドゾーン。血管年齢88歳と診断されて、医者から「このままでは、もうすぐ死にますよ」と言われたこともありました。

体は食べた物からできている、と言いますよね。だから、自分のために安心して食べられる野菜を作りたい、と思ったんです。おいしく作れたら他の人にも食べてほしいから、家庭菜園ではなく、農家として野菜を育て、皆さんに届けることを目指しました。

ヨコハマベジメイトプロジェクトとは、どんなプロジェクトなのですか

横浜市には行政の支援事業もあるので、私のように、農業とは縁のない世界から新規就農を目指す人が結構いるんです。ただ、個人で独立して農業を営むことは簡単ではありません。まず農地を借りることが大変だし、小さな畑を借りて野菜を作りはじめたとしても、販路は自分で開拓することが必要です。無農薬栽培の野菜は大きさもカタチも不揃いなので、一般の市場に出荷しにくい、というのがまず一つ。また、せっかくこだわりを持って育てた野菜ですから、消費者に直接販売したい、という思いもあります。私は会社員時代の経験があるので、自分で企画書を書いて直売できる場所を開拓してきましたが、農作業だけでも手一杯の新規就農者には、販路開拓はかなり高いハードルです。マルシェなどに出店できたとしても、個人では出店料が大きな負担となります。

そうした経験から、マルシェに共同で出店したり、情報を共有して効率化を図るために、ネットワークを構築することが必要だと思うようになりました。また、無農薬栽培に取り組んでいる農家として、子どもたちの食育を含めて、消費者に食文化を伝える活動にも取り組みたいのですが、これも1人ではできません。

そう考えながら動いているうちに、同じような構想を持つ人たちと出会ったんです。私と同じように単身で農園を運営する新規就農者や、食育に取り組む料理研究家など、年齢も経歴もバラバラですが、食と農業への思いを共有できるメンバーが集まりました。そして立ち上げたのが「ヨコハマベジメイトプロジェクト」です。まずは、新規就農者間で情報や機材、販路などを共有。農家以外のメンバーは、販売やイベントを通じて消費者とのつながりをサポートすることから取り組んでいます。

援農ボランティアを募集されているそうですね

自分で畑を持つほどではないけれど、農業に興味がある人って、結構いますよね。一方、私たちはそれぞれ独立して農園を運営しているので、農繁期には人手が足りない。そんな双方のニーズをマッチングさせるために「ベジタブルサポーター(ベジサポ)」という援農ボランティアシステムを立ち上げました。援農を希望する人たちに登録してもらい、農家さんのニーズに応じて都合の合う人を派遣するシステムです。

次に目指しているものは、どんなことでしょう

私の畑では、子どもたちが土に触れ、農業を知る機会を提供してきました。これを、大人を対象としたプロジェクトの活動として取り組みたいと考えています。その根底にあるのは、楽しみながら農に親み、食への理解を深めて欲しい、という思いです。「ベジタブル活動(ベジ活)」と命名し、菜園講座や料理教室など、多彩なイベントを企画しています。その第一弾として、今年は自然農法講座を開講しました。

そして、ぜひ取り組みたいと思っているのが、農業の6次化。つまり、収穫した野菜(第1次産業)をそのまま売るだけでなく、加工食品(第2次産業)として流通・販売(第3次産業)しようというものです。過剰生産時や規格外の野菜を有効活用できれば、資源がムダにならないだけでなく、農家の収入の安定化にもつながります。実現までにはまだ長い道のりがありそうですが、プロジェクトのメンバーとも知恵を出し合い、力を合わせて取り組みたいと思っています。

 

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