mirea 街を彩る ヒト・モノ・コトをつなぐ[ミレア]

横浜市戸塚区 PureBloom 木の実とスパイスのアレンジ

木の実とスパイスのアレンジを教えるPureBloomを主宰する
まきのゆきさんにお話を伺いました。

どこか懐かしく、温かい
木の実の世界に魅せられて

 自宅を教室にし、自ら講師としてレッスンを行う「サロネーゼ」が今、脚光を浴びている。木の実とスパイスを使ったアレンジメントを教える教室PureBloomを開くまきのゆきさんも、そのお一人だ。取材に伺ったお住まいで飾られた作品を見ながら、「木の実は茶色がベースなので、たくさん飾ってもゴチャゴチャしないし、インテリアにもなじむんです」と、その魅力を教えてくださった。
 聞けば、制作に使う木の実は自分で拾い集めることも多いのだとか。「食べたメロンやスイカ、カボチャの種も洗って干して、素材として使います。木の実は資材屋さんで買うこともありますが、季節になると自分で採りに行くんです。案外、地味な作業しているでしょう(笑)」。
 こうして続けてきた教室も来年で10年。今、まきのさんの目標は記念の作品展だ。「生徒さんと一緒に企画展をやりたいなと思っています。これからも生徒さんとの人間的な繋がりを大切に、楽しくやっていけたらいいですね」。

まきの ゆき
トロッケンクランツ(登録商標第5400385号)認定講師、プリザー ビングフラワーズ協会認定講師、小原流2級家元教授。華道・フラ ワーアレンジを学び、木の実の世界へ。ミセスの力を社会に活かす
「プラチナミセス・ジャパン」でチーフプロデューサーも務める。
詳細はこちら! PureBloom

まず、木の実とスパイスのアレンジメントを始めたきっかけを教えてください。
 もともとは華道とフラワーアレンジメントを習っていたんです。通っていたフラワーアレンジメント教室の先生が、ドイツで暮らされたご経験を生かして「木の実とスパイスの飾り花」を教えていただく機会に恵まれました。そこから、ドイツ・オーストリアの伝統工芸をモダンに現代の日本の暮らしにも似合う形にして、私らしく木の実の温かさ・ぬくもりを大切にしつつ、でもナチュラルなだけでなく好きなシックでエレガントな世界を表現した「木の実のある暮らし」を楽しんでいます。今は、トロッケンクランツという協会の認定講師として勉強を続けながらお教室をしています。
 自宅で始めた教室(PureBloom)では、木の実のクラスとフラワーアレンジメント(プリザーブドフラワー等)のクラスを同じぐらいのバランスでするつもりでしたが、木の実のアレンジをご希望される方が多くて……。ある時「お花のアレンジは華やかすぎて、木の実のほうが落ち着く」と言われた事があります。もちろん花も大好きですが、主役より脇役に魅かれる傾向のある自分(笑)にもそんな感覚がわかるような気がしました。
たしかに、木の実のほうがいろんなインテリアのお部屋になじみそうですよね。
 木の実は茶色のグラデーションですしね。最近は着色したり白く晒したりしたものもあって、バリエーションは増えているんですけど、ベースが茶色という共通の色なので、たくさん飾っても部屋がゴチャゴチャしないところがまた魅力ですよね。
そもそも、お花はどうして始められたんですか?
 独身の時からやっていたのですが、結婚してしばらくは遠ざかっていました。子どもが幼稚園に入って、少し落ち着いてからまた始めたのです。ある時、子育てばかりに向かい過ぎている自分に疑問を感じました。子供にばかり目が行きすぎることが子供にも良くないような気がしたのです。ほんの少しでいいから自分自身と向き合う時間が欲しいと……。子供を通して社会と繋がるのも悪くはないのですが、子供と自分は別の人格、自分だけの世界が持ちたかったのかもしれません。
 また、社会から取り残された気もしていたのかもしれません。(社会と関わりを持ちたいと)そこまで力んで始めたわけではないんですが、結果的にいいきっかけになったかなと思います。花や木の実を介して、色々な世界を覗けるようになりました。
なるほど。今ではご自宅以外でも講師の活動をされているんですね。
作品づくりの苦労、楽しさとは?
リビングにも作品がたくさん飾ってありますが、木の実だけでなくスパイスも使われているんですね。
 八角やシナモン・クローブとか、スパイスも色々使いエキゾチックな香りも楽しめます。あと種花(種を使って花を象ったもの)を作るためにメロンの種とか。食べたメロンやカボチャの種を洗って干して使っています。
えっ!!!種は自分で用意するんですか!てっきり資材屋さんで買うものだと思っていました……!
 そうなんですよ(笑)。小豆だとか大豆だとかは売っているものを使用しますが、メロンやスイカ、カボチャなどの種は自分で用意します。トウモロコシだと黄色一色じゃなくて、赤や白など混色の物もあるので、一粒一粒分けるのが大変ですがこの手間も楽しんでいます。
そうだったんですか!驚きました。
 木の実も資材屋さんに売っている種類と売っていないものがあるんですよね。それにシダーローズなどは、形のいいキレイなものはなかなか売っていないんです。なので、季節になると自分で採りに行っています。
えっ!森へですか!?
 (笑)。木の実っていうと、皆さん森や林へ行くものだと思われるようなんですが(笑)、案外、公園や街路樹のほうが集められるんです。シダーローズはヒマラヤ杉の実なのですが、150年ぐらい前に日本で初めて植えられたのが横浜なんです。フェリスの裏あたりに植えられて、樹齢150年ぐらいの古い木があるんですよ。樹齢が長くなればなるほど実が大きくなりますので、横浜にはいい木がたくさんありますね。
この木の実はここ、あの木の実ならここ……っていう拾うポイントがあるんですね。
 そうなんです。例えばメタセコイヤは二等辺三角形で背が高いのが特徴なので、街中で高い木を見ると「あの下に行けば実が落ちているな」と思ったりしています(笑)自分で集めた木の実や種を使ってのアレンジは愛着も湧きます。生徒さんからご家族で木の実集めをしたお話を伺うとほっこりした気持ちになります。ママの作った作品から話が弾むこともあるそうで、私も少しお役に立てている気分になるんです。
いつも注意しながら歩いているんですか?
 「先生、いつも上を見て歩いてるんですね」って言われます。特に今の時期になると、車の中に袋常備です(笑)。採っていると通りかかった方に「それ食べられるんですか?おいしいですか?」って聞かれたりするんですが(笑)。
1年分の素材は、秋のうちに集めておくんですか?
 いえ、自分一人では無理なこともあり(笑)。優しい生徒さんがいらして、ご自分の家の近くで採った木の実を送ってくださることもあります。青森・大阪・埼玉・茨城と遠いところからいらしている方もいるので、私が採取できない物を送ってくださることもあります。PureBloomのみなさまドンドン木の実好きになられて、作るだけでなく木の実採取もお好きになっていかれます。レッスン中は木の実の話題も多くてちょっとマニアックです。
夏ぐらいになると、素材が減ってきて慌てたり?
 人工的に作れるものではないので、大事に大事に使わないとなくなることもあります。
秋は冬眠前のリスのように(笑)、木の実を集めないと(笑)
 はい、秋冬は木の実採取に忙しいシーズンです。よく見かけるイメージのドングリなんかも、やっぱり秋じゃないと採れないですしね。松ぼっくりでも、大きさは年によって違います。資材屋さんで「松かさ小」として売られているものでも、「あれ、今年のはちょっと大きめだね」ということもありますし。だから、同じものができず作品によって違いが出ていいのかなと思います。
それがオリジナリティにつながると。
木の実をアレンジしていくのは、具体的にどんな作業なのでしょうか?
 (生花のように)切って挿していくだけでなく、木の実一つずつにワイヤーを掛け結束したり挿したりしていきます。こんな感じで工具で穴をあけて、ワイヤーを挿して……。だからとても時間がかかるのですが時間のかかる分作業に思いがこもりますし、この夢中・無心になる時間がとても貴重です。
作り始める前に、どんなデザインにしようと決めてからとりかかるんですか?
 そうですね。いったん仮置きするんですが、やっぱりイメージ通りに仕上がらないこともあります。木の実を生かしたアレンジを心掛けています。生徒さんの中にも、結束する手法が好きという方もいれば、挿すアレンジが好きという方もいて、みなさん色々ですね。もちろん、どちらも好きというのが一番いいのですけれども(笑)。
作り始める前にスケッチを描くんですか?
 デザイン画というのは、私はとても苦手でして(笑)。フラワーアレンジのコンテストに出す場合にデザイン画をつけないといけないこともあるんですが、その頃はどうやってごまかそうかと(笑)。実際デザインを考える時は素材を見て「これをメインに使いたい」と思うところから(デザインを)起こしていくことがほとんどです。実際に物を見てから考えることのほうが多いですね。
木の実は秋のイメージですが、春や夏向けのデザインもあるんですか?
 夏は白く晒した木の実を使ったりします。白は冬でもキレイかなと思うんですけどね。デザインによっては貝殻を入れたりすると、夏向きになるかなと思います。トウモロコシなどを使った種花を入れると、春のイメージを創り出すことも可能です。
 私自身、今も華道も続けていますが、華道というのは季節をすごく大切にするんです。例えば蓮にしても、枯れた蓮を使う時期、キレイに咲いているものを使う時期、青いものを使う時期それぞれあるんですね。そういう感覚を大切にしたいところもありますから、木の実でも季節を感じられる暮らしと楽しむデザインが出来たらと思っています。もともと、ドイツ・オーストリアの伝統工芸は長く寒い花が咲かない冬に春を思って木の実やスパイスで作ったものだと聞いています。
ミセスの力を社会に生かす活動にも力を入れていきたい
話が少し変わりますが、ご自宅で何かを教えたいというのは、もともと希望として持っていらしたんですか?
 子どもが小さかった時に、外で決まった時間に働きに行くというのができない環境だったんですね。ある日、お友達にお花を教えたことがあったんです。その時に「あ、これで楽しんでもらえる人がいるんだ」と思って、その時は仕事につながるという感覚はなかったんですけど、だんだんこういう形になってきて。もちろん、お教室への取り組みは真剣でしたが仕事として意識するようになったのは、本当につい最近。生徒さんに「ここまできたら、もう趣味じゃないでしょ」って言われた言葉が心に刺さりました。教室を始めた時は、募集をして「はい、今日から始めます」という感じではなかったので、趣味と仕事の区切りというのは、あまり考えていなかった気がします。生徒さんがだんだん増えてきて徐々にという感じでしょうか。
趣味が仕事になるとキツイという話も聞きますが、そういう感覚はないですか?
 木の実を集めたり肉体労働的なところもありますが(笑)、私には合っているようです。作品を作るのももちろん楽しいですが、ダイレクトに反応が聞ける、喜んでいただける仕事は貴重だと思います。生徒さんとの人間的な繋がりも刺激をいただけ、大切にしたいことです。
今、生徒さんは何人ぐらいですか?
 だいたい毎月50人ぐらいですね。1回に4、5人の生徒さんに来ていただいて、週に3〜4回かやっています。
教室を始められて、来年で10年と伺いましたが、今後の目標として何かお考えですか?
 生徒さんと一緒に企画して作品展をやりたいなと思っています。目標があるほうが作っていても楽しいでしょうし。今まで教える・伝えることに夢中だったのですが誰かと一緒に何かを作り上げるのも楽しいなと感じるようになりました。
 今まで花や木の実を通してみなさまに頂いてきたもの私の中で育ってきたものをかえしていきたい、そういった事にも目を向けていきたいなと思います。
 また、教室の活動を通して、家族を愛し、愛され、周りの友人や仲間と笑いあえる、わずかな時間を割いて自分磨きの時間を作り、あらゆる可能性を信じて手間暇惜しまず努力を重ねそれが形となり作品や技術に現れる。毎日忙しいけれど、身に付けたことをライフスタイルに生かして愉しむ。そんなミセス(女性)の集まり・活動をしている「プラチナミセス・ジャパン」にも携わっていきたいと思います。ミセスの社会とのかかわりを模索しながら、自分の好き&得意を生かして繋がっていけたら……家庭と仕事のバランスを考えたライフスタイルを送れたらと思っています。

本誌では掲載しきれなかった、まきのゆきさんの作品をたっぷりご覧ください♪

_MG_5006.jpg
_MG_5136.jpg
黄色いお花の部分は、とうもろこしの粒を組み合わせて作ったもの。ほかにも、キッチンで目にする機会の多いスパイスなどが使われています。
_MG_5007.jpg
まきのさん宅のディスプレーもとっても素敵!茶色のイメージが強い木の実ですが、晒して白くしたものなどもあり、さまざまなアレンジが楽しめるんです。
_MG_5140.jpg
リボンをあしらって可愛らしく仕上げたリース。色味がビビッドすぎないから、どんなインテリアのお部屋にもスッとなじむ。それが木の実の良さだとか。
_MG_5108.jpg
_MG_5114.jpg
制作した作品は、季節ごとに壁にディスプレー。リース以外のアレンジ方法もいろいろとあり、どんなふうに飾ろうか考えるだけでワクワクしそう!
trocken-34.jpg
trocken-42.jpg
trocken-90.jpg
trocken-10.jpg
trocken-39.jpg
まきのさんレッスン風景.jpg
PureBloomのレッスン風景。まきのさんの自宅で、少人数制のていねいな指導が受けられます。作るものに応じてキットが用意されているので、気軽に参加できるのがうれしい♪

関連記事

  • 普段づかいできるいい作品が並ぶ、日常をうまく繋ぐ雑貨屋

  • レトロ+αの日用品として使えるアイテムが豊富

  • 芽が出ているので、花咲く前はインドアグリーンとしても◎

  • まるでお花!!フォトジェニックな贈り物