mirea 街を彩る ヒト・モノ・コトをつなぐ[ミレア]

横浜市港北区 帽子工房Musette(ミュゼット)の帽子

女性なら誰しもテンションが上がる可愛らしい帽子を作り続け10年余。
帽子作家の樋口久美子さんにお話を伺いました。

パリ。何気ない出会いが
帽子作家への道を開いた

 横浜アリーナのすぐ脇に建つビルの6階。ドアを開けると、まるで花畑のように鮮やかな帽子がずらりと並ぶ。工房の主である帽子作家・樋口久美子さんは、短大の卒業旅行でヨーロッパに魅せられ、卒業後、服飾デザイナーを目指してパリへ。そこで帽子づくりに出会ったという。

 「ソフィア・ローレンの帽子を手がけたことで知られる平山佳代子先生に出会い、教室に通い始めたんです。最初は帽子作家になろうなんて思っていなくて、思い出づくりだったんですけれど」と樋口さんは笑う。平山先生との交流は帰国後も続き、Musette開業の際も、「チャンスだからやってみなさい」と樋口さんの背中を強く押してくれた。

 かくして今年で10年。樋口さんが多く手がけるのは綿や麻の帽子だ。「個性的すぎるとかぶりにくいですし、かといって人と同じだとつまらない。私はオリジナル性があって、普段かぶれる帽子を心がけています。あと、持病で帽子が必要な方のためにもお役に立てたらいいですね」。

樋口久美子(ひぐち くみこ)
横浜生まれの横浜育ち。美術系の短大を卒業後、専門学校を経て、パリに1年間留学する。帰国後、日本で初めて帽子製作技術の教育システムを確立したサロン・ド・シャポーで学び、2003年、帽子工房Musetteを開業。
帽子工房Musette  ●ショップ情報
http://www.hat-musette.com
横浜市港北区新横浜3-16-14三協ビル 6F
TEL:045-472-9663
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帽子づくりとの出会いを教えてください。
パリに留学してたんですが、それはもともと帽子をやるためじゃなくて向こうで出会った感じなんですよね。もともと自分が昔から帽子をよくかぶっていまして、パリの語学学校に通っていた時、ちょうど帽子の教室の張り紙があって、たまたま日本人の先生だったんです。日本人の生徒もいるしフランス人の生徒もいるし、楽しい感じだったので、ちょっとやってみようかなと思って始めたのがきっかけですね。

てっきり帽子の勉強でパリにいらしたのかと思いました。
最初は服飾、ファッションの勉強をしたくて行っていたんです。でも語学が大変で。課題も多かったですし、なかなか付いていけなくて1年ぐらいで「もう帰ろうかな」と思い始めた時に、そのお教室を知って。毎日通うわけでもないですし、気軽に行けるかなと思って始めてみたら、自分がもともと帽子が好きだったっていうのもあって、のめり込んでしまったというか。

その教室を主宰されていたのが平山佳代子先生だったわけですね。
映画のプレタポルテで出た帽子を作ったりして、向こうでも有名な方なんですが、当時は私は知らなくて。ただフランスでも活躍している日本人の方がいるんだなあと思ったぐらいでした。今考えると、すごくラッキーな出会いなんですけどね。今でもたまに電話したりして、お世話になっています。

平山先生から学ばれたのは、どんなことですか?
先生に教わったことは、木型にフェルトを蒸していれる「型入れ帽子」なんですけれど、木型に入れるだけではなくて、「木型に入れた後に自分のデザインをしなさい」というのが先生のこだわりなんです。とにかく先生はそのデザインが素晴らしくて、(写真を見せながら)つば等わざと型からはみだすように作るんですよ。型に入れてそのまま作るのでは大量生産の帽子と同じになってしまうので、そこから自分らしさをいかに出せるか、という技術がすごかったです。私もそこは努力をしています。日本の方はなかなか型入れ帽子をかぶらないので、Musetteでは布の帽子が主になっていますが、そこは日本とフランスの文化の違いですね。私は木型で作るのも好きなんですけれどね。

型入れ帽子は高級品ですもんね。それに比べてMusetteの帽子は、日常的にかぶれるデザインが多いですよね。
個性的になりすぎるとやはりかぶりにくいですし、かといってありきたりだと市販の帽子と同じになってしまいます。オーダーメイドで作る分、ただ高いだけでなく、ちょっとでもオリジナル性を出したいなというのがこだわりですね。それに私は数をあまり多く作らないんです。作っても1点につき10個ぐらいで、あまりね、たくさんの人が同じ帽子をかぶるというのは望んでいないので。

なるほど。では似合う帽子の選び方ってあるんでしょうか?
いろいろかぶってみるのが、まずは第一歩でしょうか。フランス人はね、似合うものを見つけるのがすごく上手なんです。なんかね、素敵なんですよ。よくみると市販で買ったものでもそのままかぶらず、アップリケをしたり刺繍をしたり、自分の好きなようにアレンジをしているんです。おそらく人と同じ物がイヤだという感覚なんですね。私も同じものをたくさん作るのでなく柄を変えたり、ツバを少し小さくしたり、いろいろ工夫していますので、いろいろ試して「私これ、似合うわ」っていうのを見つけてほしいなと思っています。

顔形に合わせて、似合う帽子ってあるんですか?
あります、あります。一番何をかぶっても似合うのは逆三角形の方。逆に丸顔や下ぶくれタイプの方は、上をバランスよくもってこないと余計大きく見えてしまうので、ツバの広い方がいいですね。あるいはキャスケットのように上にボリュームのある方がバランスがいいですね。工房にいらした方には説明しながら、商品を選んでいます。

工房にいらっしゃるお客様はどんな方が多いですか?
やっぱりサイズでお困りの方が多いですね。図ってみると本当に小さな方もいらして、SSサイズでもブカブカでアゴにゴムをかけてかぶっているとかね。逆に、大きめの方が小さな帽子を無理にかぶっても、かぶり心地がよくなくて「帽子嫌い」ってなっちゃいますから、サイズは重要ですね。だいたい皆さん、自分の頭より2cmぐらい大きいサイズをぴったりサイズだと思っていらっしゃるんですよ。でも、本当にジャストサイズの帽子だと自転車に乗っても飛ばされないんです。

デザインにこだわる方も多いんじゃないですか?
うち、生地の持ち込みもOkなので、一度作った方が次は「この生地で」って持って来られることも多いですね。「お気に入りのワンピースなんだけど、もう着られないから」とか、着物を帽子に変えられたらいいなということで。作っていても「こういう生地だと、こういうふうに仕上がるんだ」とか楽しいですね。やっぱり楽しく作らないと、お客様にも伝わらないですからね。

では、最後に今後の目標といいますか、夢を教えてください。
工房に来る方は悩みのある方が多いんですね。サイズももちろんそうですし、あと持病があって帽子をかぶらなくてはいけないとか。そういう方にもぴったりの帽子を作ってあげたいですね。それから、心がけているのは普段かぶってもらえる帽子。やっぱり2万、3万する帽子ですと普段かぶれないですもんね。素材をコットンや麻にして、値段を抑えつつ普段かぶれるデザインにしています。

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工房いっぱいに並べられた樋口さんの作品。生地の選び方にも作り手のセンスが出る。「お客様が持ってこられた生地で作るのも好きです。この生地だとこんなふうに仕上がるんだなあと発見があって楽しいですよ」。

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お気に入りの糸ケースは、CDを入れる棚を改造して作ったもの。カラフルな糸を見ているだけでも、どんな帽子にしようかワクワクしてくる。「工房にいらしたお客様もあれこれ迷って、2時間ぐらい長居される方も珍しくありません」。

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ミレア原稿シートvol.41.jpg

型紙にそってパーツを切り分け、アイロンをかけて、丹念に縫製して……。Musetteの帽子はすべて樋口さんの手作り。1日1個のペースで作り上げるという。「集中して一人でやれるのが、自分の性格にあっているのかもしれませんね」。

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