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オシャレではきやすい靴をオーダーメイド! HansABO

履く人の暮らしを考えた、
心地よく使いやすい靴を

「なかなか合うサイズがない」、「履いているうちに足が痛くなる」……十人十色ともいえる靴の悩みに、「ならば自分の手で、自分の足にぴったり合う靴を作りませんか?」と提案するのがHansABO(ハンス アボ)を開く大場真由美さんだ。
「外反母趾など足に悩みをお持ちの方ほど幅広の靴を選びがちですが、実際はトラブルを悪化させる場合もあるんです。まずは計測して、ご自分の足を知ることが大切ですね。左右でサイズが大きく違う方も珍しくないですよ。また、どんな場面で履くのか一番よく知るご本人が作ることで、よりフィットする靴ができるのではないかと思い、ワークショップを開いています」。
自分で作るのはハードルが高いという方に向けては、手づくり靴のオーダーも受けている大場さん。「ご自分の足に合えば、どんなデザインもできます。おしゃれで履きやすい靴を、お客さまそれぞれの足と相談しながら作っていけたらいいなと思っています」。

大場真由美さんインタビュー
まずは靴づくりとの出会いを教えていただけますでしょうか。
「もともとは専門学校で、立体のものをデザインするプロダクトデザインを勉強していました。靴づくりは、もともと私自身の足が小さく合うサイズの靴を選べないという悩みがあったのですが、たまたま「自分で靴を作れる」と知りまして、専門学校に通いながら趣味として教室に通い始めました。試しに2、3足作ってみたら、奥が深くて「これはもっとやらなきゃ!このままじゃ終わりにできないな」と。使う型や革によっても違いますし、なにより足自体すごく複雑な構造で、体の1/4の骨が足に集中していて、種子骨を入れて多くの骨から成り立っているんです。すごく複雑な動きをする部分ですし、同じ人の足でも日や時間によって状態か変わるんですね。作るたびに終わりがなく、毎回勉強だなと感じています。奥が深いので、靴職人はずっとこの道でやっている方が多いですね」

専門学校を卒業する時は、もう靴の職人になろうと決めていらしたんですか?
「決めていたわけではないんですが、「中途半端な状態では(靴づくりは)やめられないな」と。工房の生徒さんの中にも7、8年続けている方がいらっしゃいますが、とにかく飽きないですね。「次はこうしよう」というのが次々に出てきて……」

なるほど。では、卒業後も靴の修業を続けていこうと。
「卒業後は、学生時代にアルバイトしていた会社でデザインを請け負ったりしながら、靴づくりの勉強を続けていました。(技術を身につけるには)とにかくたくさん作るしかないので、家族全員分の靴を作ったりしていました。両親や祖父母、姉みんなの靴を作りました」

男性と女性では足の形が全然違いますよね!
「そうなんです。老若男女の靴を作るのは、すごく勉強になりました。手づくり靴の職人って「20代の女性用」限定とかではなくて、赤ちゃんからおじいちゃん・おばあちゃんまで全ての人に合わせる力量が必要だと思います。いろいろな靴を作れるのが楽しいところでもありますね」

オーダーのお客さまが来た時、初めにするのはどんなことですか?
「まずは計測なんですが、一足できるまで時間や工程がすごく必要なんですよ。履く方とのコミュニケーションが大切で、「どういう場面で履くか」ですとか情報をもらいながら、ご相談を進めていきます。計測後はフィッティング用の靴を作り、履いてみて合わないところがあれば直して、デザインも気に入らないところがあれば直して……と制作していきますので、工房には何度か来ていただくことになります。お客さまには、そういう点をご理解いただいています」

捉え方によって「何度も行くのは大変」と感じるか、「そこまで丁寧に作ってもらえるんだ!」と感じるか、人それぞれですものね。
「こういうワークショップをやっている理由はそこです。オーダーだと、当然ながら「自分は作ってもらう側」という意識がありますから、作る人に頼んで終わりになってしまうんですよね。でも、その方がどういうものを求めているかは、2、3回お会いしただけだと、なかなか分からないんです。でも、ワークショップに通ってくださって毎週のようにお会いすると、例えば「この方は犬の散歩に行く時は、こういう道を歩くんだな」とか「お買い物に出かける時の靴を作っているんだな」とか、その方の生活が見えるわけです。そうすると、「ここはこういう素材がいいんじゃない?」とか「こういう作り方がいいんじゃない?」とアドバイスができますし、フィッティングも何度もきめ細かくできます。オーダーの場合、お客さまの事情によってはフィッティングは1回だけということもありますので……。その点、ご自分で作られたほうが、ご自分に合った物ができるのではないかと思い、靴づくりのワークショップもさせていただいています。もちろん、自分では作れないという方もいらっしゃいますので、オーダーもお受けしています」

自分の足の特徴って、自分でも分かっていないような気がします。
「足のこと、実は皆さんわかっていなくて(笑)、計測してみると左右でワンサイズ近く違う方もいらっしゃいます。くるぶしの位置も左右で違う方もいらっしゃいますし……。最近多いのは、靴屋さんで幅広の靴を勧められるケースですね。日本人の平均は1.5Eと言われていますが、実際には細い方が多いんです。JIS規格で、男女それぞれサイズに対してのワイズの基準というのがあるのですが、割と古いデータが使われていたりするんですね。また、ブランドによっても幅が違います。幅広を勧められても、実際に計ってみるとDとかCの幅しかない方もいらっしゃいます。そういう方ほど足にトラブルを抱えていて、「ゆったりなのがいいと思っていた」とおっしゃるんですね。特に外反母趾の方は、幅広のものを履くと余計にアーチがなくなって悪化していくんですが、幅広がいいと思い込んでいたり。悩みは多いんだけど、きちんとした知識がないという方が多い印象があります」

そうなんですか!全く知りませんでした。でも、悩みを相談できる靴屋さんって、デザインより足の健康を重視しているイメージがあって、なかなか満足できないということもありそうです。
「 (HansABOでは)デザインは決まっていないので、ご自分の足にさえ合えばどんなデザインもできます。痛くて痛くてしょうがないという方に「どうしてもつま先の細い靴がほしい」とおっしゃられても困ってしまいますが(笑)、履き心地とデザインのバランスは大切にしています。あとは、靴の使い方にもよりますね。一日中仕事で履く用の靴であればラクなほうかいいでしょうし、お休みの日に数時間履く靴であればデザイン重視でもいいでしょうし。
靴職人は男性が多いのですが、「たくさん歩くなら、こうでなきゃダメ」というこだわりの強い方が多い気がします。でも私は「履きやすいから、デザインはこれね」と決められたのではツマラナイという気持ちもよく分かります。ですので、自分の使い方と足と相談して作っていけたらいいなと思います」

それは履く側にとって嬉しいですね!使用する素材も選べるのでしょうか。
「 たまにキャンバス地で作られる方もいらっしゃいますが、革が多いですね。それはなぜかというと、耐久性の問題なんです。布で作ったこともありますが、やはり弱いです。革は補修できますが、布はボロボロになったら直せなくて終わりですから。やはり手にかけて作るものですので長く持つほうがいいと思いますし、作って1、2年でダメになったら残念ですよね。自分で作った靴ってすごく長持ちして、10年程度は履けるんですよ」

作る過程が分かっているから、修理も自分でできるんですね。
「そうです。自分で作っているから分かるんですね」

続いて、独立のキッカケを教えていただけますでしょうか。
「とにかく作らなきゃということで、どこか就職するより自分で始めたほうがいいかなと思いまして、25才の時に工房を始めました」

最初はオーダー靴の工房としてスタートですか?
「いえ、当初からワークショップとオーダーの両方をやっていました。最初はオーダーをやりつつ、徐々にワークショップもできればいいかなと思っていましたら、「靴を作りたい」という問い合わせが早々にありまして。さらに人が人を連れてきて、今に至るという感じですね。
靴づくりは日々修業という感じで、「ここまでで終わり」というゴールがないんです。工房も同じで、メンバーみんなで成長していければと思っています。靴づくりの技術を一通り修得しているメンバーもいますし、「こういうやり方がいいんじゃない?」とか「こういう作り方もあるよ」というふうに情報や技術をシェアしていければと思っています。閉鎖的にならず、みんなで作っていければいいかなと」

逆に、モノづくり初トライという方もいらっしゃいますか?
「います!います!でも、一足目でも出来ちゃうものなんですよ。作っている時に「あ、失敗したかも」と思っても、形になると案外わからないものなんです(笑)。
モノづくりといっても、車や家のように大きなものになると「自分で作ったんだ!」という感覚が薄くなると思うんです。でも、靴って全部自分一人で出来るので、作り甲斐があると思うんですよね」

しかも、自分で作って自分で履けるのがいいですよね。
「そうですよね。今後はステッチの糸を撚るところから始めたり、皮から染めたり、材料づくりからやってみたいねとメンバーと話しています」

最後に、将来の夢を教えてください。
「これからは地域に関わる仕事もしたいなと思っています。今、地域の天然酵母のパン屋さんや農家の方と協力して、「小さな市」というイベントを月に1回やっているのですが、そういう活動も広げていきたいですね。
一児の母でもありますので、子育てしながら「できることから、やっていこう」という思いもあります。自分の力を注げる目の前のことを精一杯やっていきたいなと。その一つとして、ワークショップはこれからも大切に続けていきたいですね。自分の足に合う靴を作りたいという皆さんと一緒に、楽しみながら続けていけたらいいなと思っています」

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