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横浜市港南区 岩田尚美さんのペーパークイリング

中世ヨーロッパ以来の伝統を持つ、ペーパークイリングの作品を作り続ける岩田尚美さんにお話を伺いました。

紙で創るアートの世界
その豊かな表現に魅せられて

細長い紙をくるくると巻いて作ったパーツを組み合わせ、花や動物などさまざまな物を作っていく「ペーパークイリング」。岩田尚美さんはクイリング工房Naomintを開き、多彩な作品を作り出す傍ら、多くの受講生にレッスンも行っている。
このクイリングとは、中世ヨーロッパで修道女たちが聖書の製本で余った紙を使い、作り始めたといわれるペーパーアート。岩田さんは手芸店でキットを目にしたのを機に、面白さにハマったという。「クイリングはパーツから自分で作ることができ、『どう組み合わせて、どんな表現をするか』を自由に考えられるのが面白いところです。額縁だけでなく、ブーケやリース、アクセサリーなど立体の作品を作ることもできます」。
この楽しさを広めようと設立された「ボタニカルクイリング・ジャパン」の認定講師である岩田さん。「クイリングを通じて交流が広がりました。小さな夢ですが、年をとっても続けていけたらと思っています」と柔らかな笑顔で語ってくださった。

岩田 尚美(いわた なおみ)
子育ての傍ら、クイリングに出会い、「ボタニカルクイリング・ジャパン」の通信講座を受講。講師認定の難関を突破し、平成22年9月より横浜市港南区で教室を開いている。
詳細はこちら! クイリング工房Naomint

まず、クイリングについて教えていただけますか?
中世ヨーロッパの修道院で、製本する際に余った紙を鳥の羽に巻いて、装飾品を作っていたのが元だと言われています。そこから貴族の目にとまって、趣味や娯楽として広まっていきました。アメリカやイギリスではポビュラーな趣味なのですが、日本では15、16年前に入ってきまして、まだまだご存知ない方も多いと思います。

岩田さんは、その中でも「ボタニカルクイリング」を広める会に所属されていると伺いました。
はい、(写真集を開きながら)こちらの最新の写真集ではインストラクターがクイリングで作った植物を紹介しているのですが、こういう表現を提案する会(ボタニカルクイリング・ジャパン)に所属しています。植物をモチーフに、作品制作や講座などを行っています。

花や植物など、自分の中で「こういうふうに作ろう」とイメージして形にしていくのでしょうか?
基本のパーツは、クイリングバーという細い棒に細く切った紙を巻いて、一つ一つパーツを作っていきます。あとは「それをどう組み合わせて表現していくか」ですね。たとえば張り合わせたり、クラフトパンチと組み合わせたり、いろいろな表現ができます。(写真集の中からご自分の作品ページを開いて)これは私が去年作った作品なのですが、リースになっています。壁面に飾るような(額に入った)作品は普段から教室で作っているので、「違うアピールもできるよ」という表現をなるべく心がけています。

額縁に入っているものだけでなく、いろいろな表現ができるんですね!
リースのほか、ブーケやアクセサリーにもできるんですよ。いろんな活用ができます。

パーツの種類はどれぐらいあるんですか?
20個ぐらいのパーツを覚えていれば、一通りの表現はできます。ただ、自分で紙をつまんでパーツを作っていくものですので、無限といえば無限ですね。「これが全パーツです」という決まりもないんですよ。

自分の想像次第で、いろいろなパーツの作り方・組み合わせ方ができると。
そういう可能性もありますね。この教室でお教えしているパーツの作り方や表現はもちろんありますが、それ以外の表現もできます。たとえばお花があまり好きでない方は幾何学模様を作ったり、パッチワークのような作品を作ったり、カワイイお人形を作ったり、幅広く楽しんでいただけるものなんです。

風景などをクイリングで表現することもできるんですね。
はい、ご自宅のガーデニングを作品にしている方もいらっしゃいます。

素材となるクイリングペーパーの色もいろいろあるんですか?
世の中にある紙の数だけ、いろんな色を使えます。市販のペーパーに使いたい色がない場合は、自分で色を塗ったりもします。プロの方はそうされている方が多いと思いますね。ちょっと塗り絵みたいな感覚で、これも楽しいですよ。

たとえばグラデーションを作る時に、イメージしている色がなかったら塗ると。
塗ります(笑)。ひたすら塗ります。

細かい作業なんですね!
同じクラフト系でも、ビーズなどは素材を組み合わせて作るものですよね。それに対してクイリングはパーツから自分で作っていけるのが楽しいところかなと思います。大作を作る時は時間がかかりますが、うちの教室の場合、小さな額縁の作品なら2時間で作っていただいています。お道具さえあれば簡単に、気軽にできるんですよ。

手先が不器用でもトライできますか?
「私、不器用なのよ」と言っている方もちゃんとできているので大丈夫です(笑)。

作品の写真集を拝見すると、いろいろな表現がありますね。欧米発祥のものでも、和風の作品もありますし。
そうなんですよ。使う技術は同じでも、表現方法は様々ですね。日本人ってやっぱり細かくて作業が丁寧なのか、海外のクイラー(クイリングの作家)さん達から絶賛されています。日本人が作るものは繊細で丁寧らしいですよね。

ボタニカルクイリング・ジャパンの活動について

続いて、所属されている「ボタニカルクイリング・ジャパン」での活動について教えていただけますか。
植物をモチーフとしたクイリング作品の制作や講座などを行っている会で、チーフインストラクターをされている中谷資子(なかたに・もとこ)さんという方が精力的に活動されていて、海外のクイラーさんとも交流していろいろな情報を私たちに広めてくださっています。

そこで学ぶと、講師として教えられるのでしょうか。
まずスタンダードコースという誰でも受けられるコースがありまして、それを通信講座か認定教室で受けるんですね。合格すれば次のステップで、インストラクターの資格がとれるコースに移ります。その時点で「自信がまだない」という方はデザインを学ぶコースもあります。最後に認定作品として、オリジナルデザインの作品を作り、合格すれば講師になれるという流れです。今、北海道から九州まで講師の方がいらっしゃいます。

何人ぐらい講師の方はいらっしゃるんですか?
年に2回認定が出るんですが、10人ずつぐらい最近は合格しています。

難関ですね!
そうなんです。それだけ厳しいところを乗り越えて、これだけキレイな作品が表現できると。私は通信講座ですべて受けたんですよ。

それは主婦の方もトライしやすそうですね。
もともとは幼稚園の役員会の時にクイリングを知りまして。少し子どもが大きくなった時期に、ボタニカリクイリング・ジャパンの展覧会が自由が丘で開かれることをネットで知ったんです。それまでは本やネットでしか作品を見ていなかったんですが、その時初めて立体の作品を見まして、「私、この仲間に入りたい!」ってすごく思ったんです。その時に通信講座があると知って、すぐに申し込みました。

さきほど私たちが初めて作品を見て感動したのと同じですね。
そうです、そうです! そこからハマッて通信講座を受けました。子どもが小さいうちは教室に通うというのは無理なので、自宅で特訓して1年半で認定講師になりました。

すごく早いんじゃないですか!?
がんばりました(笑)。どうしてもやりたかったので。

どんなところがおもしろかったですか?
(クイリングのパーツのような)丸いものを見ていると癒されるんですよね。それに加えて、いろんな色があるので、気分が落ち込んだ時に見ると気持ちも明るくなりますし。それが最終的にお花になったり、お人形になったりというのがすごく楽しかったんです。ワクワクするし、夢があるなって。子育てで忙しい時期でもあったので、すごく気持ちが明るくなりました。

自分で考えたとおりに作っていけるのが、ストレス解消になるのかもしれませんね。
それに作品づくりのゴールがあるのもいいですよね。下手なものでも、自分で作ったものって可愛いですし。パーツもかわいいし、私にとってはすべてが癒しでした。

もともと器用なほうですか?
器用かどうかはわかりませんが、細かい作業は以前から好きでした。ちりめん細工をやったりケーキを作る仕事をしたり、手先を使う作業が好きなんだと思います。これまでは何をやっても続かなかったんですけど、クイリングは紙を使うところが相性的によかったのかもしれませんね。

クイリング教室などで人の輪が広がるのが楽しい

教室の生徒さんはどういう方が多いですか?
主婦や子育て真っ最中の方、またもう少し年上のお姉さま方もいらっしゃいます。夏休みの時期は男の子も来たりして、老若男女ですね(笑)。

男の子も!
そうです、この間は小学6年生の男の子が来ていました。夏休みの時期などはお母さんとお子様が一緒に来てくださるということも多いですね。

お母さんが家で作っているのを見て、おもしろそうだと思ったんでしょうね。
細かいことが好きな子はいますよね。男の子は世界観が違うからおもしろいです。

教室を始めて6年目だそうですが、いろいろな生徒さんがいらっしゃるのですね。
はい。教室は、教えてほしいという方がいる限り続けていきたいです。同時に自分自身の趣味という部分も忘れたくないと思っています。夢は、年をとった時に自宅に仲間が集まって、楽しくおしゃべりしながらクイリングをすること。小さな夢なんですけれどね(笑)。笑って何かを作っていけるって幸せなことかなと思います。

一人で黙々と作業するのが楽しい面もあり、クイリングを通じて人の輪が広がる楽しさもあり、ということでしょうか。
クイリングを始めてから交流が広がりまして、日本全国に知り合いが増えました。つい先日から、(横浜市)港南区でいろいろな習い事の先生が集まる「街の先生の会」というのに参加させていただきまして、新しい出会いがこれからまた増えそうだなとワクワクしています。

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「クイリングバー」に紙を巻き付け、パーツを作る。指でつまんでハート形や涙形などにしていく。

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約20のパーツをマスターすれば、一通りは作れるという。「不器用だという方も作品を仕上げていらっしゃいます」と頼もしいお言葉!

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岩田さんが手がけた作品の数々。取材スタッフ一同「すごい!」と声をあげた精巧さで、花以外の部分もすべてクイリングで作られている。

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教室は笑いが絶えず、和気あいあいとした雰囲気。制作に使うキットは岩田さんがデザインしたもので、楽しみながらクイリングを学べる。

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