mirea 街を彩る ヒト・モノ・コトをつなぐ[ミレア]

ロウロウジャパン デザイナー 早園マキさん

「日本やアジアに伝わる素敵な技術を
洋服を通じて伝えていきたいです」。

中華街は関帝廟のすぐ向かいに本店を構える「ROUROU」(ロウロウ)。モデルとしてパリコレに出演するなど華麗なキャリアを持つ早園マキさんが主宰するブランドで、アジアのどこかにある架空のユートピアの名前だという。「文化的にも精神的にも発達した理想郷があると思い描き、その国の文化をリポートするというコンセプトでROUROUをスタートしました」。アジアンと和が絶妙に混ざり合った早園さんならではのデザインが生まれたきっかけはパリコレ出演。「『ジャポニズム』をテーマにした山本耀司さんのショーに出て、日本人がとても評価されているのを感じ、自分も日本人であることが誇りに思えました。日本のものって西洋に劣らずカッコいいんだ、これを表現していこうと思えたんです」。
現在、早園さんは日本各地の生地や織りの産地と積極的にコラボレーション。この号が出る頃には春夏物も店頭に並ぶ予定だ。「今季はツユクサで染めたブルー『花浅葱色』をベースに、レモンやツバメ、ハナミズキなどをあしらった新作が登場します。ROUROUの穏やかな世界観に触れていただいて、元気になっていただけたらうれしいです」。


〈プロフィール〉
1972年横浜生まれ。両親は横浜スカーフのシルクスクリーン製版型を作る職人で、幼少の頃より「美しいものを生み出す場」に触れながら育つ。日本ファッション学院卒業後、モデルとしてコレクションや雑誌、テレビCMなどで活躍。2000年、中華街に「ROUROU」をオープンする。


本店は関帝廟の斜め向かい。蓮の花のイラストが目印だ。


20通り以上の着こなしが楽しめる人気のマルチウェイスカーフ。早園さんがテキスタイルデザインしたオリジナル柄だ。


ROUROUの洋服と合わせて持ちたいファッション雑貨も豊富。兵庫の白なめし革を使ったお財布やジャカードデニムのポーチなどがかわいらしい。

 

早園マキさんインタビュー

横浜のご出身で、ご両親は横浜スカーフの製版型職人さんだったと伺いました。
「はい。横浜スカーフの製造工程は細かく分業化されていて、うちはトレースの職人でした。図柄を起こしたものがうちに送られてきて、色が5色だったら5枚、10色だったら10枚のフィルムに描きわけて、製版型に焼き付けて。さらに紙に試し刷りをして、捺染屋さんに納品する仕事をしていました。小さいころから両親の工場に遊びにいって、作業の様子をよく見ていました。広い部屋にガラスのトレーステーブルが並んでいたのを覚えています。そのころから自分もきれいなものを作って、自分のお店で売りたいと思っていました。分業のなかで生産するだけでなく、お客様の顔を見ながら自分の手でお渡ししたいと思っていたことを覚えています」。

デザインすることには、ずっと興味がおありだったんですね。
「絵を描いたりするのは好きでした。進学した服飾系の専門学校で、自分たちのファッションショーをやる機会がありまして、モデルをやらせてもらったんです。そのときに、こういう世界もおもしろいなと思いました。子どものころからバレエをやっていて、衣装を着るのがすごく好きでした。ただモデルだけでは食べられないので、母のトレースの仕事も手伝っていました。そのおかげで柄の作り方や絵の書き方などが身についたかもしれません」。

トレースの作業というのは、下絵に沿って書いていくのでしょうか?
「下絵は毎回変わります。デザイナーさんによっても変わりますし、美術館シリーズですとゴッホなど有名画家の絵をトレースすることもあります。ですから、トレースは自らを出さない世界ですよね。相手が描きたい世界をいかに再現するか。紙ではなくてフィルムに書かなくてはいけないので、修行が必要な世界です」。

20代の頃はトレースの職人をやりつつ、モデルとしても活躍なさっていたわけですね。
「はい。コレクションのほか、雑誌やテレビCMにも出演させていただいていました。中でも一番印象的だったのはパリコレに出演したことです。デザイナーの津村耕佑さんのショーに出ていた時、山本耀司さんの目に止まり、声をかけていただいたんです。最初は顔見せに行き、2回目でフィッティング。5回ぐらい通って、最終候補の3人残りました。とにかくたくさん洋服を着て、ランウェイを歩きましたね。通常175cm以下のモデルは使われなくて、私は167cmしかないのですが、たまたまジャポニズムを表現するということで、出演させていただきました」。

まさにイメージどおりだったんですね。
「本当にラッキーでしたよね。会場はソルボンヌ大学だったのですが、すごく格調の高い会場で、ヨーロッパそのものといった感じ。そういう空間で和の世界を見てもらった時の反応が新鮮でした。それまでは白人に憧れて、生活もファッションも劣るとうコンプレックスがあったのですが、日本人がすごく評価されているのを見て、日本のものって西洋のものに負けずにかっこいいし、私だけ背が小さかったけどそれでもいいだなと誇りに思えたんです。日本人でもアジア人でもかっこいいんだ、それを表現していけばいいんだと」。

外に出て、日本のいいところが見えてきたのでしょうか。
「そうですね、客観視できたと思います。ちょうどその頃、母の会社の仕事でベトナムに行く機会が多く、アジアの物やデザインにも触発されました。
ROUROUは主人と一緒に始めた会社なのですが、主人は幼少のころシンガポールで育っていて、やはり自分が日本人なんだという感じることが多かったそうなんです。それで、どんなブランドにしようかと話した時に、アジアのどこかに誰も知らない文化的にも精神的にも発達した争いのない理想郷があると仮定して、そこの商品をリポートするってどう?と。それってすごく夢があるし、自分たちなりの世界観を表現できていいねということになりました。
朧朧(ろうろう)というのは「おぼろ」という日本の古語です。「ろうろうの曙」という使い方をしたようです。『一日の始まり、スタート』という意味もいいですし、響きもいいので、これにしようと決めました。また、朧朧の時刻に咲く花といえば蓮の花。蓮の花は泥の中から咲くけれど、自らは泥に染まらず美しい。そして池の水も浄化する。見た目も美しいけれど精神も美しいんです。そんな蓮の花のような精神を感じられる服をデザインできたらなと思いました」。

中華テイストを感じさせつつ、ベトナムなど東南アジアの香りもして、なおかつ和のイメージもあるという「ROUROU」ならではのオリジナリティですね。
「最近は、微力ながら日本の産地のものを残したいという気持ちがあるので、岡山のデニムや群馬のカットジャカード、兵庫の白なめし革なども使っています」。

シノワズリーなデザインと日本の素材がコラボレーションしているんですね。
「そうですね。日本にもこういう良いものがあるんですよ、ということを次の世代に残すお手伝いができたらいいなと思っています」 。

今はテキスタイルも含めて、ご自分でデザインなさっているのでしょうか?
「そうですね。無地の生地は既存のものを使っていますが、テキスタイルはすべて自分で描いています。私がワンパターン手書きをして、それを『送り』という作業で一枚の生地にしていきます。シルクスクリーン、インクジェットプリントなど染め方は用途によって考えています」。

アパレルですと、だいたい半年先の製品を企画・デザインしているとよく聞きますが?
「うちはそこまで追いついていなくて(笑)、メインで企画をやっているのが私ともう一人いまして、それぞれお店で販売もしていますので、なかなか時間がとれないんです。半年ごとにテーマを決めて、それに沿って商品を展開していまして、半年に一回、受注会をやっています。また、ファッションショーも毎年お客様を招いてやっています。一般のお客様はなかなかファッションショーをご覧になる機会がないですよね。私はモデルをやっていて、ショーのノウハウもあるので、ぜひお客様に見ていだこうと思いました。2002年からやっていまして、私の出産でしばらくお休みしていた時期もあるのですが、また数年前から再開しています」。

ああいうふうに着るんだ、と参考になって楽しいですよね。
「はい。お店をショーの会場にして、終わったあとは販売もしています。参加していただけるイベントですね」。

今年2017年の春夏の新作はどんなテーマなのでしょうか。
「『花浅葱色の島』をテーマにしています。浅黄色というのは藍色が少し薄くなったような色で、花というのはツユクサのことです。花浅葱色というのは、ツユクサで染めた緑がかったブルーのことなんですね。瀬戸内海の島をイメージして、穏和な感じや素朴さを大事にしています。綿や麻などの自然素材をふんだんに使っているのも、今季の特長だと思います。レモンやツバメ、ハナミズキなどのモチーフは、私がすべて筆で手描きして、デザインを仕上げています」。

実際の商品の出来上がりが楽しみです。
最後になりますが、 今後の夢や目標などがありましたら教えてください。
「洋服が売れない時代になっていますが、うちにしかないものを提案していきたいです。アジアにも素敵な技術がありますので、洋服を通して伝えていけたらと思っています。
また物だけにとらわれず、お客様は「ROUROU」を楽しんでくださっています。お客さん同士がコミュニケーションをしたり、お客さんにモデルさんになってもらったり、みなさん思い思いに楽しんでくださっています。洋服や物だけでなく、ROUROUの世界観を楽しんでいただけたらうれしいですね。 朧朧国は平和で争いのない理想郷ですので、来ていただくお客様にも優しい気持ちに、元気になってほしい。そんな場所、そんなブランドで有り続けたいと思っています」。

ROUROU

朧朧国(ろうろうこく)という、未知のアジアの国…そんな理想の国があると仮定し、その国の服などをイメージしてデザインしている中華街にあるお店です。

  • ショップ・スポット名
    ROUROU
  • 住所
    神奈川県横浜市中区山下町130番地11
  • 電話
    045-662-0466

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