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森山未來さん、ヨコハマ・アートナビ★巻頭インタビュー

ヨコハマ・アートナビ★巻頭インタビュー
ART×PEOPLE

森山未來
MIRAI MORIYAMA

ヨコハマ・アートナビ2016-2017年冬号の巻頭インタビューにご登場いただいた今回のアートなヒトは、俳優・ダンサーとして活躍する森山未來さん。コンテンポラリーダンスの世界と、2017年のスタートを飾る横浜赤レンガ倉庫での公演について伺いました!

俳優として、振付家・ダンサーとして、
ジャンルレスな表現の可能性を模索する

—–映画や舞台で俳優として活躍される一方で、ジャズダンス、タップダンス、クラシックバレエ、ヒップホップなど様々なジャンルのダンスを経験してこられたと伺っています。
姉がダンスを始めたことがきっかけで、5歳からはじめました。オープンスタジオだったので、いろんなクラスを受けられて面白かったですね。今ではほとんど忘れちゃったかもしれませんが(笑)。

—–近年は、数々のコンテンポラリーダンスの作品に参加されています。映画や演劇は、言葉や物語があるのでわかりやすいのですが、コンテンポラリーダンスは抽象的でわかりにくい、と思われてしまうジャンルですが・・・。
確かに、身体表現として抽象的なものもあるし、表現の幅もすごく広い。僕自身、映像や演劇の世界にどうやって組み込んでいけるか、常に模索しながら取り組んでいます。

—–2016年の夏は、瀬戸内トリエンナーレで演劇作家の岡田利規さんとの共作が話題になりました。
とても面白い経験でした。僕は以前から岡田さん率いるチェルフィッチュが好きで、公演にも度々足を運んでいました。
まず彼が戯曲を書いたのですが、彼が提示する言葉に、僕が直感的に身体の動きを当てはめていくワークショップの過程が、とても面白かったですね。言葉と身体を使うことで、その奥に広がっている想像の世界をもう少し広げられるというか、レイヤーを作ることができる。動きと言葉が直接的にはフィットしなかった時、その間にひずみが生まれる。するとそのひずみの奥に世界が広がるんですね。そこをお客様が自由に想像するわけですが、その「想像力のポケット」にどれだけ手を伸ばしてもらえるか。そんな経験でした。

ユダとジーザスを題材にした太宰の小説をベースに
エラとの対話から生まれた作品

—–2017年は「横浜ダンスコレクション2017」のプレ事業として『JUDAS,CHRIST WITH SOY〜太宰治「駈込み訴え」より〜』からスタートです。元々どんなきっかけから生まれた作品なのでしょう。
太宰の小説は以前から好きで、いつか自分の作品として取り組みたいと思っていました。具体化したきっかけは、2013年から1年間イスラエルに滞在した際、エラ・ホチルドと出会ったことです。すでに面識はあったのですが、現地で彼女の作品に触れる中で、改めてその才能に惹かれました。「自分はダンサーだ」という意識はありつつも、舞台上でテキストや音楽などいろいろな要素を取り入れて、それらの素材を自然な動きの中で有機的に横断してゆく姿がとても気持ちよかった。それで僕から「何か一緒にやろう」と声を掛けたんです。構想を進めるにあたり、思い出したのが「駈込み訴え」でした。

—–小説がベースということは、具体的なストーリーがあるのですか。
小説からエッセンスを抽出してはいますが、ストーリー通りの展開はなく、どちらがジーザスでどちらがユダ、という役回りを決めているわけでもありません。僕らがフォーカスしたのは、ジーザスとユダの関係性です。自分を誰よりも理解してくれていると思う一方で、いや全然わかり合えていないと思うような。それは、英語もおぼつかない状況だった当時の僕にとって、エラとの関係性そのものだったかもしれません。コンセプトを伝えようと会話を重ねるのだけど、お互いに本当に理解できているのか自信が持てなくて苦笑いしたりして。でも、僕が日本語でブツブツつぶやきながら即興で踊っていくと、日本語が理解できないはずの彼女が、感覚的にキャッチしている瞬間があったりする。「ユダ」と「ジーザス」の関係性が、僕とエラの身体の向こう側に透けて見える感じでしょうか。

—–2014年イスラエルでの世界初演を皮切りに、内子座(愛媛県)や旧映画館のHONMOKU AREA-2(横浜)と再演を重ねてきた作品ですね。
もともとは、「エラと僕の対話」がコンセプトの作品です。イスラエルで初演を行った後、内子座という有機的な空間の中で再構築することになったので、その時は音楽を吉井盛悟さんにお願いしました。これがものすごくフィットして、盛悟さんと内子座が共振していると感じるほど。彼の存在があまりに強くて、作品が別のところへ行ったような感覚でした。
HONMOKU AREA-2は元映画館だった場所で、打って変わって廃墟のようなブラックボックスが会場でした。これはやり方を変えた方が絶対に面白くなると思い、音楽は蓮沼執太さんに依頼しました。原点に戻り、エラと僕のシンプルな対話にフォーカスを当てたい、という思いもありましたが、これはこれで成功だったと思っています。ユダとジーザス、憎しみと愛しさ。その振れ幅を行き来するエラと僕の舞台上にある身体の向こう側に、何かの存在が浮かび上がる。その感覚が、廃墟のような空間にすごくマッチしたのでしょう。

—–今回は2015年に続く再演ということですが。
再演といっても、前回と全く同じように上演するわけではありません。作品は、上演を重ねるたびに深度が増していくものなので、今回も、エラと僕と、音楽の蓮沼執太さんと再び会ってセッションを深め、作品を発展させていきます。自分の作品というのはライフワークとして常に発展させていくことができる、それをお見せできる機会です。

僕らが感じた驚きや美しさをギュッと閉じ込めて提示。
そこから自由に想像する時間を楽しんでほしい

—–「横浜ダンスコレクション2017」のオープニングプログラムでは、ダミアン・ジャレ振付作品の「VESSEL yokohama」を踊ります。ほかの振付家の作品にダンサーとして参加することは、自らが作る作品に対する関わり方や取り組み方と異なるのでしょうか。
振付家はリーダーであり、作品全体の責任を負う存在です。今回の場合で言えば、全体のイメージはダミアン・ジャレから生まれてくるものです。けれど、制作過程においてはお互いに意見をぶつけ合うし、彼のチョイスは僕との会話の中から決まることもある。この作品には、2015年に彼がリサーチのために来日した頃から関わっており、初演から参加していますので、彼も僕に意見を求めてくれるような関係性があるので、そういうやりとりが可能なのかもしれません。

—–新しい表現は、どんなふうに楽しんだらよいか、戸惑う方もいます。楽しむポイントを教えていただけますか。
アーティストたちは皆、自分たちが感じている驚きや美しさを作品にギュッと閉じ込めて提示しています。そこには初めて見る世界が広がっているものなので、わからない、と怖がらず、何かを自由に想像する時間を楽しんでほしいと思います。そこで感じとった何かを、今度は自分の生活の中に取り入れていく、そんな鑑賞ができたら素敵ですね。

森山未來さんが出演されるダンス公演はこちら!

©bozzo

JUDAS, CHRIST WITH SOY
ユダ、キリスト ウィズ ソイ
〜太宰治「駈込み訴え」より〜

[日時]2017年1月4日(水)19:30開演、5日(木)15:00開演、6日(金)15:00開演
[会場]横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
[企画・共同制作・出演]森山未來
[演出・美術・振付・出演]エラ・ホチルド
[音楽・演奏]蓮沼執太
[料金]前売¥4,000、当日¥4,500、学生/高校生以下(前売のみ・枚数限定)¥3,000
[TEL]045-211-1515(横浜赤レンガ倉庫1号館)

横浜ダンスコレクション2017
ダミアン・ジャレ|名和晃平『VESSEL yokohama』

[日時]2017年1月26日(木)〜29日(日)
[会場]横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
[振付]ダミアン・ジャレ
[舞台美術]名和晃平
[出演]森山未來、エミリオス・アラポグル、ほか
[料金]一般¥3,500(当日券は¥500増)、U-25¥3,000(前売のみ)
[TEL]045-211-1515(横浜赤レンガ倉庫1号館)

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