mirea 街を彩る ヒト・モノ・コトをつなぐ[ミレア]

アート
2019.09.18

この1冊で『横濱ジャズプロムナード』が10倍楽しくなる!

今夜もどっぷりジャズ浸り
File.9 ビッグバンド大辞典(柴田浩一・著)
新村繭子(ジャズ喫茶ちぐさ)

 

横浜を代表するジャズイベントといえば、10月に開催される『横濱ジャズプロムナード』。毎回国内外からそうそうたるミュージシャンが集結し、横浜市中心部はジャズ一色に染まる。

このイベントで長年総合ディレクターを務める柴田浩一さんは、昭和21年、横浜市西区の鉄工所に生まれた、生粋のハマっ子だ。ちなみに“ハマっ子”の定義は、さっぱりとして前向きで義理人情に厚く、面倒見がいいこと。柴田さんは、そのすべてに当てはまる。
たとえば、若手を積極的に大舞台に立たせることは“ハマっ子気質”の表れだと思う。若いミュージシャンを応援する思いがあるとはいえ、決して若手に甘いわけではない。はじめは訝し気に眺めている“耳の肥えた”お客さんがいたとしても、あっという間に彼らの演奏に引き込まれてしまうのだから。

柴田さんが生まれたのは昭和21年、いうまでもなく戦後まもない激動期である。横浜の中心部にはアメリカの進駐軍住宅があり、彼ら専用の遊興施設も数多くあった。遊興施設とは即ちクラブのことであり、当時のクラブ音楽といえばジャズ。港町特有の混沌とした雰囲気の中、ビッグバンドが演奏する音楽があちこちから聴こえ、町中がスウィングしていたことだろう。
そんな環境で育った柴田少年は、ノリのいいスウィングジャズと迫力のあるビッグバンドに魅せられていったのだという。
そしてこの夏、柴田さんは600のバンドと1,300人のジャズミュージシャンを紹介する『ビッグバンド大辞典』を上梓した。実に400ページに及ぶ大作である。
横浜市中区のホテルで開かれた出版記念パーティーには、大御所から若手まで多くのジャズミュージシャンがお祝いに駆け付け、大いに賑わった。
終始笑いが絶えない会場は、柴田さんの人柄そのもの。出席メンバーが入り乱れ、グラス片手にセッションを始めてしまうのもお約束。その末席に加えていただき「音楽っていいな、ジャズっていいな」と、心の底から思える幸せな時間を過ごさせてもらった。
「おめでとうございます、売れるといいですね」と尊敬の念を込めて言ったつもりが「バカヤロー! うるせー!」といつもの調子で返される。でもその直後に「ありがとうな」と一言。はにかんだ笑顔で言ってくださった。

今年の『横濱ジャズプロムナード』は、10月12日・13日の2日間。柴田さんの著書テーマそのままに、ビッグバンドが数多く出演する。
柴田さんがキャスティングする、港町ヨコハマのジャズ。是非訪れて、心ゆくまで酔いしれて欲しい。

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