mirea 街を彩る ヒト・モノ・コトをつなぐ[ミレア]

養蜂家/ちぼり堂店主 人見俊也さん

「いつか、蜂の巣箱を持って
 世界中を回れたら面白いですね」

 

小学生の頃は、百科事典の「動物」「昆虫」のページだけが真っ黒になっている子どもだった。けれど、中学生になると部活動に熱中し、やがて大人になって就職。そんなごく普通の人生に転機が訪れたのは、博物館のミュージアムショップでミツバチの本を手に取ったことだった。

「ミツバチの行動に興味を引かれて、関連する本をいろいろ読んでみたんです。そのうちに『自分にもできるかも』と思うようになっちゃって…(笑)」

そして人見さんは、40歳目前にして勤めを辞め、養蜂家としての道を歩み始めた。現在は神奈川県各地でハチミツをしぼりながら、直売所「ちぼり堂」を経営している。
ハチミツは、花の種類によって多彩な味や香りが楽しめるのが魅力のひとつ。とはいえ、単一の花だけが咲く環境は自然界ではありえない。単花のハチミツをしぼるためには、蜂の数や巣箱を置く場所を綿密に計算することが重要で、それが養蜂家としての腕の見せどころ。

「ミツバチが私の言うことを聞いてくれるわけではないので(笑)なかなか狙ったとおりにはいきません。でも、花に合わせて仕事をするのはとても楽しいですよ」

ミツバチは、より近くで、より濃い蜜がある花を目指すため、巣箱を置く位置はハチミツの味と品質を決める重要なポイント。
伺ったときは、アカシア、みかん、フジ、サクラなどのハチミツが並んでいた。いろんな花が混じった「百花」は、季節や場所によって味が変わるので、それはそれで楽しい。
新鮮なハチミツは透明度が高くサラッとしている。ハチミツには本来賞味期限はないが、やはり新鮮なものは味も香りも格別。

「養蜂家という職業があることは知っていたけれど、自分とは別世界の話だと思っていた」と人見さん。仕事になったのは「たまたま」だと、笑顔で応じてくれた。

 

《人見俊也さんインタビュー》

養蜂家になろうと思ったきっかけは?

小田原にある「生命の星・地球博物館」へ行った際、ミュージアムショップでミツバチの本を手にとったことです。17年ほど前のことになりますが、それまではごく平均的なサラリーマンとして働いていました。

生物や農業などに興味がおありだった?

遥か昔を振り返れば、百科事典の中で「昆虫」「動物」の項目だけが黒くなっているタイプの子供でした。でも、中学に入って部活が始まると昆虫の世界からは離れてしまうという、これまたよくあるパターンですよね。大人になって、たまたま大学の先生が書いたミツバチの本を手にした時も、興味を引かれたとはいえ、自分とは別世界の話だと思っていました。それが、色々調べていくうちに「自分にもできるかも」と思うようになって…。

養蜂家って、どうしたらなれるのですか

私も全く知らなかったので、はじめはミツバチを飼っている方に教えてもらって、あとは独学です。もちろん、どこでも勝手に養蜂を行なっていいわけではありません。2箱からスタートして組合に加盟し、土地の所有者と交渉するなどの手続を行いながら、少しずつ増やしていきました。

いろんな花の名前が付いた蜂蜜がありますが、桜を好むミツバチとか、いるのでしょうか?

それはありませんね(笑)。桜の時期には菜の花も咲くので、放っておけばミツバチは両方から蜜を集めます。ミツバチは蜜が濃く、近くにある花を選ぶ習性があるので、蜂箱を置く位置を考え、花の量とミツバチの量を調整して、単花の蜜を集めるのです。

花によって味や香りが違うのですね

そうです。いろんな花の蜜が交じった「百花」だっておいしいし、季節や場所によって味や香りが変わるので、それはそれで楽しいと思います。でも、養蜂家としては「単花」の蜂蜜が取りたい。なかなか狙った通りにはいかないけれど、だからこそ面白いんです。

もうすぐ桜の季節ですね

そうですね。でも、近隣に多いソメイヨシノは花蜜の量が少ないので、オオシマザクラなどが咲くのを待っています。少しずつずれた時期に色々咲くので、1カ月くらい取れるんです。そうやって花に合わせて仕事をするのって、楽しいと思いませんか。

今後やってみたいことは?

本を読んで憧れはじめた頃は、蜂箱を抱えて世界中を巡ってみたいと思っていました。実際には、その土地にはその土地の養蜂家が活動しているので、そう簡単にはいかないんですけどね。それでも、いつか世界を回れたら面白いだろうな、という思いはあります。

神奈川県産の蜂蜜の良さはなんでしょう

神奈川県には多種類の花が咲くので、やろうと思えばいろんな種類の蜂蜜が取れます。蜂蜜の賞味期限はかなり長いのですが、新鮮なものほど香りが高く味もいいことは確かです。その意味では、地元で取れるものが一番かもしれません。ぜひ試してみてください。

自ら採蜜した神奈川県産のはちみつを販売しています。
種類は年によって違いがあります。容器をお持ちいただければ、「みかん」「百花」は量り売りも対応可能です。

  • ショップ・スポット名
    ちぼり堂
  • 住所
    神奈川県横浜市港南区港南台6-4-11
  • 電話
    045-835-1383
  • 営業時間
    10:00~19:00(日・月曜、年末年始休)
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