mirea 街を彩る ヒト・モノ・コトをつなぐ[ミレア]

カリグラフィー作家 山本佐知恵さん

「カードづくりだけでない、
美しい文字を書く奥深さに魅せられました」。

流れるような美しい文字に目を奪われるカリグラフィー。このシーズン、クリスマスカードなどで目にする機会も多いだろう。西洋書道とも言われるカリグラフィーを約20年にわたって学び、自身でも教室「ワンダフルメモリーズ」を主宰する山本佐知恵さんによれば、カリグラフィーとは手書き文字の総称。アルファベット以外に平仮名・カタカナを書くこともあるという。「もともとはヨーロッパで、聖書の写本に端を発する古い歴史があります。教室では、まずお手本を見ながら練習していただきますが、最終的には『自分らしい美しい文字』を書けるようになるのが面白いところだと思います」。
自らが書いた絵とカリグラフィーを組み合わせるなど、作家としても精力的に活動する山本さん。「紙とペンがあれば気軽に始められますし、年齢を重ねても続けられるのが魅力ですね。年をとることで目線が変わり、作品が変化していくのも面白いところですよ」

【profile】
カリグラフィー教室『ワンダフルメモリーズ』主宰。OL時代、カルチャースクールに通ったのを機に夢中になり、本格的に作品制作について学び始める。子育て中、ママ友に指導したところ「子連れで行けるカリグラフィー教室」として人気に。現在は自宅教室の他、出張レッスンも積極的に行っている。

ウィリアム・モリスのテキスタイルデザインをベースに自ら描き、カリグラフィーとコラボレーションした渾身の力作。カリグラフィーの部分に薄くロウを引き、文字を載せている

ワンデイレッスンで作るお正月のカード。まったくの初心者でも、楽しみながら作品を仕上げられるという

作品制作に使用するペンの数々。ペン先を外すことができ、用途に応じて付け替えられる

山本佐知恵さんインタビュー

まず、カリグラフィーとはどういったものか教えていただけますでしょうか。
「カリグラフィーとは書道のことで、手書き文字の総称です。日本の書道もカリグラフィーと言えますし、いろいろな国の人が書いています。語源はギリシャ語で、書く+美しいと言う意味の言葉です。印刷技術がなかった古い時代、聖書を書き写していたのがカリグラフィーの始まりと言われています」。

アルファベット以外を書くこともあるんですね!
「そうなんです。日本語のカタカナ・ひらがなもあります。フランス語・ドイツ語もありますし、コラボレーションしたものもあります。クリスマスなどのカードを書くイメージが強いですが、(古今東西の有名な詩など)文章を作品として表現するもこともあります」。

日本の書道のように、いろいろな流派もあるのでしょうか。
「おそらくないと思います。『自分の字』を書くことが目標なので、最初はお手本をもとに書きますが、そこから分析して自分の文字にしていくんです。なになに流と言うよりは、モダンか古典かという区分けかもしれません」。

まずは写し書きのような ?
「いえ、写し書きはあまりしなくて、お手本を見ながら書きます。ただテキストどおりに書くだけではつまらないし、お手本がないと書けないという状態のままです。テキストもいろいろなカリグラファーの字を参考にして、少しずつ自分の字にしていくのが面白いところなんですね」。

道具などはどういったものを使われるんですか ?
「小さい文字と大きな文字を書き分けますので、文字の大きさによってペン幅を変えます。ペン先を付け替えて、線の太さや文字の大きさを変えられるんですよ」。

ペン先の種類も、こんなにたくさんあるんですね!
「ちょっと変わったペンもあって、これは筆記体を書きやすいように軸が斜めになっているんです。強くペン先を紙に押し付けると、ぐーっと太い線になっていきます」。

書道の筆のように、筆圧でコンロールするんですね。
「そうですね。日本の書道と考え方は似ていると思います。白い紙と黒い文字のバランスをいかに美しく見せるか、というところがポイントになってきます。難しいことばかりではなくて、教室では季節ごとにカードを作ったりしながら、楽しく学んでいただいています」。

先生のお宅には、額装された作品や時計に書いた作品もありますが、カード以外にこういった形にもできるんですね。
「いろいろなコラボレーションができるのも面白いところですね。時計以外にも花瓶やトートバッグなどいろいろな物に書けますし、絵やクラフト作品と組み合わせることができます。
我が家の壁に飾っているこの作品は、ウィリアム・モリスのテキスタイルデザインをベースにしたもので、カリグラフィーの後ろの絵も私が書いています。描き始めると早いのですが、それまでは書物を読んだり、いろいろな人の意見を参考にしたり、結構時間がかかります(笑)。文字とイラストの重なりを考えて、デザインを考えていくんですよ。作品が仕上がったら額装も自分で考えますし、そういった幾つものことを考えながら形にしていくのが、とても楽しいです」。

まさか、自分が教室を開くなど思いもしなかったOL時代

続いて、山本先生がカリグラフィーを始められたきっかけを教えていただけますでしょうか。
「OL時代に時間があったので、カルチャースクールへ通い始めたんです。ちょうど、カリグラフィーが流行り始めた時期でした。もともと美術のレタリングが好きでしたし、書道のように集中できて楽しかったんですね。
ちょうど世の中ではレストランなどで結婚式をあげるオリジナル婚ブームがきて、ウェルカムボードや席札を手作りするのが流行り始めたんです。私の年齢的にも、周りのお友達で結婚する人が増えだして、頼まれてウエルカムボードや席札を何十枚と書きました。カリグラフィーってただの趣味じゃなくて、こうやって人に喜んでもらえるんだなと、その時実感したんです」。

それで、カリグラフィーを本格的に学んでいこうと ?
「はい。たまたま見に行った作品展で、すごい衝撃を受けたんです。初めてきちんと額装された作品を見て、カードやウエルカムボードだけじゃない世界があるんだ!アートとしても世界があるんだ!私もこれをやりたい!と思いました。それで、自分が好きな作品を作っている先生を見つけて、教えていただきたいとドアを叩いたんです。その先生には今もお世話になっていまして、もう20年近くになります」。

そんなに長く学び続けていらっしゃるんですね!カリグラフィーの奥深さを感じます。
「自分の都合に合わせて自由に学べる環境でしたので、子育てしながら通えたのも大きかったです」。

学びつつ、ご自分でも教室をやろうと思われたのは何かきっかけがあったのでしょうか。
「結婚して妊娠するまでは、すごく集中してカリグラフィーを学びました。でも先生になるなんて考えていませんでした。子供ができていったんやめたのですが、我が家に遊びに来た幼稚園のママ友が作品を見て、『教えて』と頼まれるようになって……。だんだん口コミが広がって、お母さんがたが通ってくださるようになりました。子連れでもOKでしたので、ずいぶんにぎやかでしたね(笑)」。

現在、教室に通われているのはどういった方が多いですか ?
「2011年にカリグラフィーの講師の資格をとりまして、本格的に教室を運営するようになってから、生徒さんの層がガラッと変わったんです。ママ友つながりというより、カリグフィーを学びたいという方が多くいらっしゃるようになりました」。

より本格的にカリグラフィーを学べる場になっているんですね。
「はい。額装するような大きな作品は、人によってペースは違いますが、だいたい通い始めて2年めぐらいで仕上げられるようになります。また、トールペイントや押し花などを習っている方は、カリグラフィーと組み合わせて作品を作られることも多いですね。他のクラフトを組み合わせて作品づくりできるのも、カリグラフィーの楽しいところなんですよ」。

最後になりますが、先生が思い描いている将来の夢や目標をお聞かせいただけますでしょうか。
「自分の教室から先生が出ることが大きな目標です。一緒に肩を並べて、頑張っていける存在を育てていきたいと思っています。カリグラフィーはやればやるほど、やるべきことが見えてくる世界です。私が20年近く習っている先生もまだ勉強していますし、私も勉強している。私の生徒さんも勉強している。そうやって切磋琢磨してやっていけるんです。また、年をとって目線が変わると作品が変わるのも面白いところです。例えば、独身時代は恋愛の詩を作品モチーフに選んでいたのが、子育てするようになったら子供に関連した詩を選ぶようになったり……。自分の興味が変わっても、それに合わせた作品づくりができるのも楽しいですね」。

カリグラフィー教室 ワンダフルメモリーズ

西洋書道カリグラフィーの小さなお教室と作品販売をしています。教室は少人数制で一人ひとりのニーズに合わせたカリキュラムできめ細やかな指導を行います。
美しい文字を書くことで集中し、スッキリします。色やレイアウト等、文字以外の技術をお伝えし、表現する楽しさを体験頂けるよう楽しくレッスンをしています。

  • ショップ・スポット名
    カリグラフィー教室 ワンダフルメモリーズ
  • 住所
    横浜市保土ヶ谷区
  • 電話
    090-6526-8441
  • 営業時間
    10:30〜15:00

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