mirea 街を彩る ヒト・モノ・コトをつなぐ[ミレア]

森田 朋子さんのフラワーアレンジメント

「私はアーティストというより職人。
花でどう空間を引き立てるかを大事にしています」。

フラワーアレンジメントの教室「Atelier Moet」(アトリエ モエ)で指導する傍ら、横浜山手の西洋館や開港記念会館などで空間装飾も手がける森田朋子さん。幼い頃は祖父が庭で花を育て、母がその花を食卓に飾るのが日常だったといい、花はいつでも身近にあったという。
ご自身の作品へのこだわりを伺うと、「私ね、個性がないんですよ」と屈託なく笑い、「ご依頼いただくと『自分の作品』を飾るのではなく、その空間が引き立つものを選んで持って行きます。だから私の作品には『自分』がないんです。私はアーティストではなくて、空間を飾る職人なんだなと自分では思っています」と真剣な表情に。会場によっては事前に下見ができず、図面のみで広さを把握して、必要な花と緑を準備することもあるというというから驚きだ。
教室を開いて15年以上になり、最近では舞台装飾などの依頼も増えているそう。「これまでのショーやウエディングの経験も生かして、テレビ番組のスタジオセットなどにも挑戦できたらうれしいですね」。


生け花を学び、その後フラワーアレンジメントの世界へ。生花店勤務を経て、国家資格であるフラワー装飾技能士に合格する。現在主宰する「Atelier Moet」は花・芸術文化協会認定校。横浜支部長として、フレッシュフラワー・プリザーブドフラワー・テーブルデコレーションの指導を精力的に行っている。


指導を行う自宅サロンには所狭しと花材が。アーティフィシャルフラワー(造花)でひとつの作品を作るために、5種類もの葉を組み合わせてリアルさを追求するという


愛用の道具の数々。硬い茎を切ったり、水を毎日取り替えたりと花は力仕事の連続だという


生花と見紛うばかりのアーティフィシャルフラワー。アレンジの組み合わせには季節感を大切にするそう

森田 朋子さんインタビュー

そもそもフラワーアレンジメントを習い始めたきっかけを教えてください。
「習い始めたのは結婚してすぐでしたので、25年前ぐらいです。まず5、6年カルチャーセンターに通って、もっと花が知りたくなったので、お花屋さんへアルバイトしに行ったんです。そこのオーナーさんがいい方で『そんなにお花が好きなら、国家資格を取らない?』と言ってくださって……。『フラワー装飾技能士』という国家資格があるのですが、実務経験がないと受験資格がないので、オーナーさんが就業証明書を書いてくださって、職業訓練校にも通わせてくださいました。おかげさまで資格をとることができました」。

いい出会いがあったんですね。
「はい。その後、子供ができまして、お花の仕事は水を変えたり、重いものを運んだりすることが多いので一旦やめました。でも、せっかくそこまで覚えたことでしたので、通信教育のような形でお花に役立つカラーやブライダルの知識を学び続けていました。
子供が幼稚園に入りますと、お母さん友達がうちに遊びに来る機会が増えまして、自宅に置いてある手作りのリースなんかを見て『いいね!これ、どうしたの?』という話になったんです。それで、自然に自宅で教えることになりました。きちんとした教室ではないので、気軽に子供を連れてこられるのが良かったんでしょうね。それが最初のきっかけでした」。

お母さんがたにとって、いい息抜きの時間だったのでしょうね。
「子供を遊ばせながら、親も楽しめるみたいなね(笑)。その後、子供が2人生まれたのですが、習いに来る友達が我が家の子供たちの面倒を見てくれ、教室を続けることができました。私の代わりに幼稚園へ迎えにいってくれたり、離乳食を食べさせてくれたり(笑)。今のサロネーゼさんのようなお洒落なサロンではありませんでしたね(笑)」。

自然な流れでのスタートだったんですね。
「はい。お花はもちろん大好きですが、子供との時間を最優先にしてきました。私、実は強い上昇志向はないんです(笑)。『将来こうなりたいな』という思いは頭のどこかにはありますが、まずは子育てを優先して、仕事は子供が学校に行っている間だけして、帰ってくる時には家にいてあげたいという思いがありました。ですので、外に教室を借りたり、生徒さんを大々的に募集したりということは考えませんでした」。

「個性」がないのが私らしい。
自分の花は「場」を引き立てる存在なんです。

現在、教室では生花のほか、アーティフィシャルフラワーも扱っていらっしゃるそうですね。
「昔で言うところの造花ですね。私、もともと造花って苦手だったんですよ(笑)。いかにも作り物という感じで。でも6、7年前に、自然の草花と見間違うようなアーティフィシャルフラワーが登場してきまして、生徒さんの中にもアーティフィシャルフラワーをやりたいという人が増えてきたんです。プリザーブドフラワーはお花のいわゆる『首』の部分だけを使いますが、アーティフィシャルフラワーは茎や花全体を生かした大きな作品が作れます。自然に近い形の作品を作ることができ、空気感のある作品を形にできるんです」。

アーティフィシャル・生花ふくめてたくさんの作品を手がけていらっしゃいますが、ご自分の個性とはどんな部分だと思われますか?
「私ね、個性がないんですよ(笑)。ご依頼いただくと、自分の作品を置くのではなく、その空間が引き立つものを選んで持っていきます。だから、「自分」がないんです」。

自分の個性を出すより、場を飾ろうと。
「はい。だから、私はアーティストじゃなくて職人なんだと思うんです。横浜山手の西洋館もどれだけ飾らせてもらったかわからないほどですが、いつもその洋館が一番きれいに見えるようにということを一番大切にしています。歳時記などの装飾のお話をいただけることは大変ありがたいなと思っています。
先日は山手234番館で、ビーズ作家さんの展示の装飾を担当させていただきました。作品が国立新美術館で展示された時は、『ビーズだけでなく、世界観ごと持ってきてほしい』とお話をいただいて、作品搬入の際は本来、作家本人しか入れないものなのですが、特別に同行させていただいて装飾をしました。その時もやはり、小さなビーズが無機質な空間でいかに魅力的に映るかを一番に考えました」。

事前に下見にいらっしゃったんですか?
「していないんです。図面のみの確認です。美術館は絵画がありますので、水気のものは使えません。アーティフィシャルフラワーだけで装飾を行いました。いかに本物に見えるかを追求して、葉っぱにしても一種類だけではなく、五種類ほど組み合わせてリアルさを出しました。ときにはヨーロピアンなビーズ作品に、薄墨色の桜を組み合わせるなど、作品とストーリーを考えながら装飾してまいります。」

ご自宅での教室からスタートして、活躍の場がどんどん増えていますね。最後に、今後挑戦してみたいことをお聞かせいただけますでしょうか。
「フラワーアレンジメントだけでなく、空間装飾をさせてもらう機会が、いつの間にか多くなりました。年に数回は舞台の装飾も機会をいただくのですが、バロック時代の楽器を使う演奏集団で、山手の西洋館を中心に活動している『アンサンブル山手バロッコ』さんからお声掛けをいただき、舞台にお花を飾ったりミニオペラなど音楽を花の色と香り季節など五感で感じていただけるような演出で私も愉しんでおります。今年の夏は開港記念館の会議室を大正ロマンのカフェに変身させるといったプロジェクトも時代考証を勉強したり、想像もしていないことにご縁が増えてドキドキわくわくしています。今後は…いつかテレビ局のニュース番組の背景ディスプレイなども挑戦してみたいですね」。

フラワーアレンジメント「Atelier Moet」

横浜の自宅サロン「Atelier Moet」(アトリエモエ)にて、フラワーアレンジメントとテーブルコーディネートのクラスを開講。お花は生花・アーティフィシャル・プリザーブドなど対応しています。横浜山手の西洋館でのクリスマス装飾など、パブリックスペースでの展示も多数行っています。

  • ショップ・スポット名
    フラワーアレンジメント「Atelier Moet」
  • 住所
    横浜市

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