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「使う相手を恋するように見つめて作る。 それが私の石けんです」

手づくり石けん
末吉真由美さん

横浜アロマとハーブと石けんの教室「Faire ma vie」(フェールマヴィ)を開く末吉真由美さん。末吉さんは自身の石けんを「恋する石けん」と呼ぶが、これは石けんに恋をするという意味ではなく、もっと深い思いが込められている。「石けんを作る時は、使う相手のことを恋しているかのように丸ごと見つめて、どんな成分を配合しようか考えます。たとえば、『疲れが溜まっていそうだな 』と思ったらリラックスできる成分を、『肌がカサついているな』と感じたら保湿成分をプラスして、カスタマイズできるのが手づくりのいいところなんです。オイルやハーブの選び方によって、洗い上がりがびっくりするほど変わりますよ」。
また、使う材料はキッチンと庭にある口にして安全なものだけ。配合成分を調整することで、身体用だけでなく衣類用、食器用、シャンプーなどを作ることもでき、末吉さんがふだん使う洗剤は全て手づくりだ。教室を開いて9年目となる現在では、志を同じくする仲間も増えたという。「これからは、私がライフワークとしてやってきた石けんづくりを同じようにやりたいという方を応援する活動にも力を入れていきたいですね」。


(末吉真由美さんプロフィール)
明治大学理工学部工業化学科卒業後、外資系化粧品会社勤務を経てアロマの世界へ。現在は、薬用植物の美容・健康成分に関する豊富な知識を活かし、石けん・化粧品・洗剤などの製造方法や使い方を指導している。日本メディカルハーブ協会ハーバルセラピスト認定をはじめ、ハーブ・アロマに関する資格多数。

教室にディスプレーされた石けん。大学時代に専門的に学んだ化学の知識と、ハーブやアロマの力を組み合わせて、さまざまな悩みに応える石けんレシピを考え出している

ベースとなるオイルはオリーブ、マカデミアンナッツ、ヘーゼルナッツなど実に多彩。洗い上がりの好みに応じて選べる

使えるのは製作から1ヶ月経ってから。約3ヶ月後が溶け崩れしにくく、一番使いやすいそう

末吉真由美さんインタビュー
大学で化学を専門的に学ばれ、ご卒業後は化粧品メーカーに勤務なさっていたそうですね。
「はい、フランスに本社がある化粧品メーカーに8年間勤めていました。(その会社では)海外で作られた化粧品を日本に輸入するにあたり、使用成分が日本で認められているかなど薬事法に関する申請や、品質管理、書類の整備、受け入れ検査などをしていました」。

そのお仕事のなかで、アロマに興味を持つきっかけはありましたか?
「仕事のなかではまったくありませんでした。人工的な香りに包まれて、むしろそれが好きだったんです。仕事をしながら結婚・妊娠をしまして、お腹に子どもがいる時に植物園へ行きましたら、ラベンダーの香りが全く違って感じられて驚きました。妊娠中で匂いの感覚が鋭くなっていたのかもしれません。ラベンダーってもっと華やかでお花のような香りだと思っていたんですが、その時は「なんて草っぽい香りなんだろう」と感じて、香りへの新たな気づきがありました。それが「自然な香り」に興味をもったきっかけでした。
それから本を読んだり、植物を植えてみたりするようになったんですね。まずハーブを育てることから始まって、アロマテラピーということを知りました」

体におよぼす良い影響を実感なさったことはありますか ?
「はい。私の娘が小さいころ、擦り傷を作ってきたり、体に湿疹ができたりしたこともたびたびでしたが、薬の頼るのではなく、自家製のクリームを使ってみたらびっくりするぐらいキレイになって。(そういった経験から)自分が興味をもって勉強したことが、家族や周りの人に還元できているなと実感しました」

アロマテラピーというとマッサージなども連想しますが、石けんを選んだ理由なんだったのでしょうか。
「たまたま読んだ本で、お料理するのと同じ感覚で、石けんもキッチンにある食材で作れるということを知りました。また使用するオイルによって保湿力を高めたり、夏向けにさっぱりさせたり、いろいろと調整ができるんです。泡立ちの仕方や洗浄力も、好みに合わせて調整できます。それが本当にお料理するのと同じような感覚なんですね。肌は一人一人違いますから、それに合わせたものが作れるということに醍醐味を感じました。
また、作るときはその人のためだけに成分の配合を考えますので、相手のことをまるごと知っていないとできないことだなと思うんです。たとえば、『肌がカサついているな』とか『寝不足かな』とか、恋するように相手をじっくり見つめることが大切。そういった意味で、私が作る石けんは『恋する石けん』と呼んでいます。完全にカスタマイズできるのが手づくり石けんのいいところですね」

教室で日常的に使うハーブは何種類ぐらいありますか?
「5種類ぐらいでしょうか。ハーブというと西洋のものを思い浮かべるかもしれませんが、東洋のハーブも使います。例えばハトムギは美白効果がよく知られていますし、ドクダミやヨモギも使っています。挿し木で簡単に増えるものですので、私の家で育てて生徒の皆さまにお配りしています」

では、生徒さんに「とにかく美白用に石けんが作りたい」と言われたら、そういう石けんが作れるようになると。
「そうです。カリキュラムに沿って学んでいただいた後は、生徒の皆さんがご自分で処方といますかレシピを考えて、オリジナルを生み出すことをやっていただきます。ですので、「美白を」ということであれば、最後に思いっきり美白成分を入れた石けんを作っていただきます(笑)」

分のことを学ぶなど、なんだか理科の教室のようですね。
「実験のような感じもありますね。レッスンでは毎回必ず石けんを作りますので、ワイワイと賑やかです。毎回、最後は必ず作った石けんをお持ち帰りいただきます。できた石けんはすぐに使うことができず、大体一ヶ月後に使えるようになります」

それはどうしてですか?
「材料の一つに医薬用外劇物を使っていまして、誰でも薬局へ印鑑を持っていけば買えるものなのですが、とてもアルカリ度が高くて素手で触れるとピリピリする成分があるんですね。石けんの材料として混ぜ合わせた後、化学変化で危険性がなくなり、アルカリ度も徐々に下がっていきますが、そのためには約一ヶ月間待たなければいけないんです。また、できたての石けんは柔らかく溶けやすいので、固まるのを待つためにも時間がかかります」

防腐剤のような成分が入っていない分、やはり早く使いきらなくてはいけないんでしょうか。
「それも頃合いがありまして、作って3か月ほど経った石けんが一番使いやすいです。硬くなって、溶け崩れがしにくくて。ですので、夏用の石けんは春先に、冬用の石けんは夏に作っているんですよ。作った後は1年ぐらいで使っていただくのが理想ですが、物によっては3年ほど経っていてもちっとも構いません。匂いを嗅いでいただいて、油臭いニオイがしなければ問題ありません」

今、ドラッグストアなどに行くと、固形の石けんよりボディソープの方がたくさん並んでいますが、違いというのはどんなことなんでしょうか。
「私の教室でも、液体の石けんは作れます。でも、それはオイルから作るので、販売されているホディソープとは全く違います。一般に販売されているボディソープは合成界面活性剤が使われているものが主流になりますので、使った後の感覚が全然違うと思います。市販のものを使うと皮脂を余分に取りすぎて、カサカサしてしまうのではないでしょうか」

自然素材系の洗剤などを中心に「石けん成分使用」という表示もよく見かけますが、そもそも「石けん成分」とはなんなのでしょうか。
「表示成分がカリ石けん素地と書いてあれば、本来の石けん成分です。石けんとは界面活性剤の一つです。油と水を混ぜると混ざらずに、境目ができますでしょう?その境目を界面というのですが、石けんのような界面活性剤はそこを活性化して、油と水を混ぜ合わせる性質を持っています。
まず、石けん成分の化学構造として『マッチ棒の形』を想像なさってください。マッチ棒の先端の色がついた部分はお水と仲良くなる性質、棒の部分は油と仲良くなる性質を持っているという二面性があります。石けん成分って、水と油どちらとも仲良くなる性質を持っているんです。
続いて汚れを落とすメカニズムですが、汚れというのは主に油に溶ける性質ですので、石けん成分のうち油と仲良くなる成分がまずベタッと汚れにくっつきます。泡立てることで、その成分がどんどん増えていきます。最後にすすぎで水をかけると、今度は水と仲良くなる成分が水に引っ張られますから、汚れ+油と仲良くなる成分ごとサーッと流れ落ちるという仕組みなんですね」

そうなんですか!そういう性質を持つ成分のことを、一般的に「石けん成分」と呼ぶんですね。
「はい。人間の身体用、食器用などさまざまな石けん成分がありますが、基本は同じです。だから、家で使う石けんはすべて手作りすることができます」

通っている生徒さんも、すべて手作りという方が多いでしょうね。
「そうですね。シャンプー剤なども買わずに石けんシャンプーを作っています。リンスもアロマの効果を生かして手づくりしています。市販のものは「あるもの」の中から選ぶしかありませんが、手づくりすれば無限にカスタマイズできます。自分の肌って誰とも共有できないものですから、『今日はちょっと保湿をブラスしようかな』とか『デリケートになっているな』とか自分に向き合いながらチョイスできます。子どもにも『ニキビができちゃったね』とか体調に合わせた石けんや化粧水を作ってあげられますし。すべてのスタートは『キッチン』で、同じ材料を使って食事を作るのか、石けんを作るのかという違いです。それは主婦ならではの感覚なのかもしれませんね」

教室を開いて今年で9年目だそうですが、末吉さんの思いを受け継ぐ生徒さんもだいぶ増えたのではないでしょうか。
「そうですね。今後は、私がライフワークとしてやってきたことを同じようにできる方、また、やりたいという希望を持っている方を応援していきたいと思っています。身近なものを使って作れるものですので、もっと広めていけたらいいなと思っています。」

フェールマヴィ

アロマ&ハーブを暮らしに活かす手立てを学べるアトリエ。「恋する石けんレッスン」は入門・探求・インストラクターの3コース、「ライフオーガニスタレッスン」は4コースがあり、興味や知識に応じて学べる。月に2回水曜日には、好きな石けんを作って持ち帰れるOpen Dayも開催。アトリエは、東急東横線・JR菊名駅から徒歩2分。

  • ショップ・スポット名
    フェールマヴィ
  • 住所
    横浜市港北区篠原北1-2-21高木ビル201

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