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若きヴァイオリニスト、毛利文香さんにインタビュー!

ヨコハマ・アートナビ★巻頭インタビュー
ART×PEOPLE

毛利文香
FUMIKA MOHRI

ヨコハマ・アートナビ2016春号の巻頭インタビューにご登場いただいた今回のアートなヒトは、これまでに数々の国際コンクールで入賞実績を重ねてきた横浜出身の21歳の若きヴァイオリニスト、毛利文香さん。ヴァイオリンの魅力、留学先のドイツでの過ごし方、これからのことなどフレッシュなエネルギーに満ちた彼女にお話を伺いました!

ヴァイオリンの魅力は、人の声のように
自在に操り、自由に表現できること。

—–3歳からヴァイオリンを始められたのですよね。
はい、父が学生時代にヴァイオリンを勉強していたので、私にも弾かせたかったみたいです。自分から始めたわけではありませんでしたが、不思議と楽器をやめたいということもなく…。まじめに練習するというよりは、好きな曲にのめり込む、という感じでした。

—–お父様に教えてもらっていたのですか?
子どものための音楽教室に入って、先生に教えていただいていました。家では父が練習をみてくれていましたが。

—–お父様は厳しかった?
はい。今でもうるさいです(笑)。

—–毛利さんは、どんなお子さんだったんでしょうか?
幼稚園ぐらいまでは非常におとなしい性格で、折り紙ばかりやっているような子どもでした。でも小学校に入ってからは活発になり、バスケットボールとかバレーボールとか運動することも大好きでしたね。

—–球技ですか。指を怪我しないか、心配はなかった?
私自身、そういった心配はまったく。むしろ友達の方が「(ヴァイオリンを弾く大事な手なのに)バスケなんてやって大丈夫?」と心配してくれていました(笑)。そうやって動くことも大好きでしたが、やっぱり合唱や合奏のある音楽の授業がいちばん好きだったかな。

—–なるほど。ヴァイオリンの魅力はどんなところだと思いますか?
ヴァイオリンの音って、人の声に似ているところがあるんです。ピアノなどと違って、自分で音程を作ったり、ビブラートをかけたりできるので、自分の声のように操ることができる。一つの音を出すのでも、弓の使い方や重さのかけ方、左手の意識の仕方で全く違う音を出せて、自分の中のイメージを表現しやすく、表現の幅が広い、そこが魅力です。

—–同じヴァイオリンでも使用する楽器によって、人の声のように個性があったりするものなのですか?
全然違いますね。作られた国によって…例えばイタリアのヴァイオリン、フランスのヴァイオリンでも全く違いますし、同じ国のヴァイオリンでもひとつひとつ音が違います。明るい音だったり、深みのある音だったり、楽器によっていろんな音があるんです。

—–いろいろな音色があるんですね。ところで毛利さんはこれまでに数々のコンクールに出場されていますが、初めてのコンクールはいつだったのですか?
確か父の勧めで挑戦した、小学5年生の時の「日本クラシック音楽コンクール」が最初かな?そして6年生になって日本の学生コンクールの中ではいちばん大きい「全日本学生音楽コンクール」を受けて。そこからはほぼ毎年コンクールに出場しています。

—–今までに印象に残ったコンクールはありますか?
その小学校6年生で出場した「全日本学生音楽コンクール」のことは、印象深く残っています。予選に通り、本選となる東京大会でも入賞してなんとか全国大会まで行けたのですが、全国大会の演奏の途中でヴァイオリンの弦がゆるんでしまって。ちょうどピアノだけの間奏の時だったので自分で直して…というアクシデントがありました。凄くびっくりはしたんですが、そのアクシデントがあったことにより、自分の中で「今回は無理だな」と思ったこともあって、弦を直した後は開き直って落ち着いて演奏していました。あの時の感覚は今でもはっきりと覚えています。

—–それは衝撃的な体験ですね。
はい。入賞は逃したのですが、後日毎日新聞に掲載されたコンクールの記事で、一人の審査員の先生が私の演奏について「選外だったが、太くて美しい音」と評してくださったことを知り、とても嬉しかったのを覚えています。

自分で創りあげたものをお客様が喜んでくださる、
その反応がとてもうれしいんです。

—–演奏会の魅力は、どんなところだと思いますか。
例えばソロ・リサイタルでは、お客様はその人の演奏をわざわざ聴きにいらしているので、会場全体に漂うその熱狂的な雰囲気が味わえるところかもしれません。その人の演奏に浸ることができる、周りのお客様と想いを共有できる、という楽しさがあるのではないかなと思います。

—–演奏家にもそれは伝わってくるものですか?
はい、私の今までのリサイタルでは常にお客様があたたかく見守ってくださっていて、演奏する曲によっては、お客様がノリノリになってくださっていると、弾いている最中にも弾き終わった後にもその空気がダイレクトにこちらに伝わってきます。演奏後に会場からたくさんの「ブラボー!」や拍手などを受けた瞬間、自分で演奏したものや創りあげたものに対してお客様が喜んでくださっている…それが伝わってきて「あぁ、頑張ってきてよかったな」って思います。

—–お客様にも毛利さんの想いが伝わっているんでしょうね。オーケストラとの共演はまたソロとは違う雰囲気なのでしょうか。初めての共演はいつでしたか?
中学2年生の時に「神奈川音楽コンクール」で大賞をいただいたその副賞で、神奈川フィルハーモニー管弦楽団と共演させていただいたのが初めてでした。横浜みなとみらいホールの大ホールが会場で、リハーサルから自分のバックにいる100人近くの演奏家の方たちが支えてくださり、「これがオーケストラと一緒に演奏するってことなのか!」と。その雰囲気にのみ込まれないようにと本番はとにかく必死で弾きました。今思えばもう少し楽しむ余裕があったらよかったかなって。まだまだ勉強中ですが、今の自分であればオーケストラがどういう風に演奏しているか、それに合わせて自分はこういう風に表現していこう、あるいは自分のやりたいことをこういう風に示そう、などと考える余裕が少しは持てるようになった気がしています。


ドイツ留学での変化…
それは今まで以上に
自分の音を聴くようになったこと。

—–現在留学されているドイツのクロンベルクアカデミーではどんな生活を?
アカデミーの練習室で1日に平均6〜7時間ぐらいヴァイオリンを練習しています。あとはドイツ語や身体の使い方などの授業も。いろいろな国から来たアカデミーの生徒3人と同じ家で一緒に生活をしていて、みんなで料理をしたり、ゲームをしたり。日本では料理を全然しなかったので母のありがたみを実感しています(笑)。ヴァイオリンのレッスンについていえば、ほかの生徒の演奏を聴いている時や一緒に室内楽を演奏する時、みんなそれぞれ自分の意見を明確に持っていることがよくわかり、それを出し合う勇気と語学力の大切さも、身に沁みて感じています。私も室内楽の練習をしている時など「私はここをこう弾きたい」と自分の意見をはっきり伝えることが大事だと思うようになりました。

—–音楽との向き合い方にも変化がありそうですね。
そうですね、自分はこの曲をどう弾きたいのか、自分に足りない部分は何なのかなどをもっと深く考えるようになりました。音の質にこだわるようになり、今まで以上に自分の音を聴くようにしています。例えばモーツァルトを弾く時も、単に明るく軽やかに弾くだけでは聞き流されてしまう。説得力に欠け、お客様にとって退屈な演奏になってしまうと思うんです。でもモーツァルトの明るさの中には、悲しみや喜びなどいろいろな表情があるので、一つ一つの音にもそうした深みを持たせることが大事だと。音にはそうした密度が必要で、そして「どう表現したいのか」という熱意と意志を持ち、それが伝わるようにどう魅せていくかが大事だということをとても学んでいます。昨年日本に一時帰国した時、久しぶりに私の演奏を聴いてくださった方が「表現の幅が広くなったね」と言ってくださりうれしかったです。

—–それは留学したからこそ得られた、とても大きな変化ですね。
さて、今年7月11日に横浜みなとみらいホールで開催される「みなとみらいクラシック・マチネ」についてお聞きします。今回4曲をセレクトされたそうですが、そのポイントは?

第1部はドイツの作曲家、第2部はフランスの作曲家を選びました。ドイツはモーツァルトとベートーヴェンの曲で、和音の重厚感を味わっていただけたらと思います。フランスはプーランクとフランクの曲を。こちらは多彩な色がふわっと変化していくようなそんな音楽を楽しんでいただきたいです。それぞれの曲は楽章によって場面が違うので、自分なりに想像して、物語を紡ぐように表現できたらと思っています。

—–毛利さんが紡ぐ物語、楽しみにしていますね。最後に、横浜ご出身の毛利さんにとって横浜の魅力とはズバリ?
特にみなとみらいが大好きです。街並みがきれいですし、いろいろな施設がそろっているところも。海もあって、気持ちよくて、居心地のいい場所だと思います。音楽の面でも横浜みなとみらいホールや神奈川県立音楽堂などがあったりしますし、たくさんの経験を積ませていただいた私にとっての大切な故郷です。

—–ありがとうございました!7月の公演、楽しみにしています!


毛利さんのヴァイオリンケースも覗かせていただきました。高校生の時から組んでいるカルテットのメンバーとの写真や、初めての発表会で撮られたという先生とのツーショット写真なども。

2016年7月、毛利文香さんが横浜に帰ってくる!
みなとみらいクラシック・マチネ
〜名手と楽しむヨコハマの午後〜
毛利文香(ヴァイオリン)×日下知奈(ピアノ)

[日時]7月11日(月)〈1〉12:10〜、〈2〉14:30〜
[会場]横浜みなとみらいホール 小ホール
[出演]毛利文香(ヴァイオリン)、日下知奈(ピアノ)
[曲目]〈1〉モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第28番 ホ短調 K.304、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 Op.47「クロイツェル」、〈2〉プーランク:ヴァイオリン・ソナタ、フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
[料金]1日券¥1,800、〈1〉〈2〉各¥1,000、ランチボックス券¥500(サンドウィッチ、焼き菓子、飲み物/限定150個)
[TEL]045-682-2000

横浜みなとみらいホール

クイーンズスクエア横浜にある1998年に開館したコンサートホールで、「海の見えるコンサートホール」として親しまれている。
大型のパイプオルガンを設置した大ホール(2020席)と、ウッドデッキの屋上庭園を隣接した小ホール(440席)があり、ほぼ毎日のようにコンサートが開催されます。

  • ショップ・スポット名
    横浜みなとみらいホール
    施設の情報を見る >
  • 住所
    神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-6

    横浜みなとみらいホール
  • 電話
    045-682-2020
  • 営業時間
    9:00〜22:00
  • 駐車場
    「みなとみらい公共駐車場」の割引券を販売(通常 ¥540/1h)、割引券:一般¥450、Miraist Club 会員¥350
  • 総座数
    大ホール(2020席)、小ホール(440席)
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