mirea 街を彩る ヒト・モノ・コトをつなぐ[ミレア]

横濱ワイナリー

生産と消費をつなぎ、地球環境に想いを馳せる
日本で一番小さく、海に近いワイナリー

地ビールがあるのだから、横浜のワインがあってもいいんじゃないか。町田佳子さんがワイン作りに取り組んだのは、そんなシンプルな発想からだった。世界規模のNGOに約20年勤務し、企業や政府に環境保護を訴える活動に携わってきたが、ふと「自分で実践してみなければはじまらない」との思いから行動に出る。生産者と消費者をつなぎ、地球環境と向き合うための実践的ツールを模索する中で思いついたのが、ワインだったのだ。

「一般に、ワイナリーはぶどう畑と共にあるものなので、横浜では無理だと思ったこともありました。それでも幅広く情報を収集し、教えを請う中で、畑を持たずにワインを醸造する『都市型ワイナリー』のスタイルに出会ったんです」

ワインの多くは「シャルドネ」のような専用品種から作られるが、横濱ワイナリーでは一般的な食用品種を原料としてオリジナルな味を目指している。荒廃した農地の再生に取り組む生産者から原料を仕入れるなど、地球環境への目配りも忘れない。そして昨年秋、ついに横濱ワイナリー初のワインが絞られた。

「初年度はスタートが遅れたので、ぶどうの力に助けられて何とかワインになった、という感じです。今年はしっかり時間をかけて、おいしいワインを作っていきたいですね」

【profile】
■横濱ワイナリー
横浜市中区新山下1-3-12 鈴木ビル1F
TEL.045(228)9713

 


左から、山ぶどうを原料とする個性的な赤ワイン「元町」、山形県産デラウエアに、完熟前に摘果した青い実を加えた白ワイン「みなとみらい」、巨峰を使いボジョレーのような味わいに仕上げた赤ワイン「馬車道」、同じ巨峰を使ったロゼワイン「大桟橋」。いずれもアルコール度は低めで、和食にも合うやさしい味。

ショップの奥に醸造用タンクが並び、ここがワイナリーだと気づかされる。素材の香味を大切に、樽熟成は行わない。

できたてのワインを試飲できるのはワイナリーならではの楽しみ。


カモメをあしらった樽に、蛇口から汲み出されるワインをイメージしたロゴが印象的。

 

《横濱ワイナリー 町田佳子さんインタビュー》

この仕事を始める前は、NGOの仕事をされていたそうですね。

約20年間「世界自然保護基金(WWF)ジャパン」の職員として、政府や企業をはじめ、広く一般の方に対して環境保護に関する働きかけを行っていました。やりがいのある仕事ではありましたが、その一方で、次第に「周りに働きかけるだけで、自分は何もしていないのでは?」という矛盾を感じるようになったんです。そこで「自分で実践してみなくちゃ、何もはじまらない」と一念発起。団体を辞めて、ワイン醸造の世界に飛び込みました。

なぜワインだったのですか?

たまたまです(笑)。もともとワインや日本酒などの醸造酒が好きで、日本酒を作ることも考えました。でも日本酒の酒蔵はたくさんあるので、あえて私がやる必要はありません。でも、ワイナリーは横浜にはない。開港以来の舶来文化が根付いているのに、不思議ですよね。そこで、まずワインがどうやって作られるのか、という基本から調べ始めました。

ワイナリーはぶどう畑の真ん中にあるイメージです。

ですよね。私もはじめは「ぶどうの栽培から始めないといけないのかな」と思いました。生まれは東京だし、結婚以来ずっと横浜で暮らしてきたので、ぶどう栽培のために地方へ移住するのはちょっと難しいな、と。横浜市や神奈川県の農政課などにも足を運び、いろいろ調べてみたのですが、残念ながら横浜にはぶどう畑がほとんどありません。といいながら、ワインの生産量は、山梨県などを抑えて神奈川県がナンバーワンなんです。

え? 神奈川に広大なぶどう畑があるとは思いえませんが。

でも大手ワインメーカーの生産工場がありますよね。つまり、ぶどうを栽培しなくても、海外から輸入した果汁からでもワインは作れるんです。さらに調べてみると、海外では、ぶどうを買い付けてきて都市近郊でワイン醸造を行う「都市型ワイナリー」が増えている、という情報にたどり着きました。日本ではまだ一般的ではないけれど、東京ではすでに数件のワイナリーが稼働していたので、それなら横浜でもできるのでは、と。
もちろん、大変なのはそこからです。設備も、資金も、ワイン醸造の知識・技術も、すべてがゼロからのスタートでしたから。補助金を申請したり、ご縁のあった石川県のワイナリーに修行に行ったり、酒造免許の申請を助けていただいたり。本当に多くの方の力に支えられて、なんとかワイン作りに着手できたのが、2017年の秋でした。

ワイン作りを始めるにはギリギリの季節?

いえ、ちょっと遅いですね。本当は8月頃から仕込み始めたかったのですが、酒造免許が間に合わなくて。やむなく、買い付けたぶどうを冷蔵庫で保管しておくことで、なんとか初年度のワイン作りに漕ぎ着けました。

ワインには、ワイン用のぶどう品種があるのですか。

「メルロー」「シャルドネ」などの専用品種から作る場合がほとんどです。でも横濱ワイナリーでは、「巨峰」「デラウェア」など一般的な食用品種を使っています。たとえば、白ワイン「みなとみらい」の原料は山形県産のデラウェアに、完熟する前に摘果した”青いデラウェア”を加えて絞りました。本来なら捨ててしまう実を活用することがポイントですが、キリッとした酸味が出せるので、近年注目される作り方です。また、仕入れ先である山形県のぶどう生産者は、高齢化が進み耕作放棄された畑を復活・再生させようと取り組んでいる若い人たちが中心です。

スタート地点だった「環境保護の実践」にも、つながっているのですね。

そうですね。都市型ワイナリーを運営することで、どうやってワインが作られるのかを皆さんに知っていただけるし、生産者に対しても、消費者の思いを直に伝えることができる。さらに、生産者と消費者を繋ぐことで、人間の生産活動が地球に与える負荷の大きさに気づいていただけたら、と思っています。

今後の目標は?

まずはおいしいワインを作ることです。ワインの仕込みは8〜11月くらいまでが勝負。初年度はスタートが遅れたので、今年はしっかり取り組みたいと思っています。また、原料となるぶどうの種類を増やしたり、スパークリングワインも手がけてみたいですね。
さらに、いずれは地元産のぶどうを使ってワインを作り、地元の方々に飲んでいただく、ワインの地産地消を実現したいと思っています。

町田佳子さん
環境保護団体勤務を経て、2017年11月、横浜港近くで横濱ワイナリーをオープン。国産ぶどうを使ったワイン醸造に取り組む。

 

横浜初のクラフトワイン”ハマワイン”の醸造所。アルコール低め。ブドウの香りを大切にした、やさしくすっきりとした味わいが、和食にも合います。

  • ショップ・スポット名
    横濱ワイナリー
  • 住所
    〒231-0801 横浜市中区新山下1-3-12鈴木ビル1F
  • 電話
    045-228-9713
  • 営業時間
    12:00〜18:00(不定休)
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